土地の相続で兄弟間トラブルに発展する理由とは?対処法や分割方法を解説 

土地の相続では、兄弟間のトラブルが生じることがあります。土地は1円単位で分けることができず、「誰が取得するのか」「いくらの価値があるのか」「売るのか、残すのか」といった点で意見が分かれやすいためです。

相続人が複数いる場合、遺産分割が終わるまで相続財産は共同相続人の共有に属します(民法898条)。遺言で相続分の指定がされている場合などを除き、各相続人の権利の割合は法定相続分が基準になります。土地を共有したままにすると、その後の相続によって共有者が増え、売却や管理が難しくなることもあります。

2024年4月1日からは相続登記が義務化されました。土地を相続したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があり、施行前に発生した相続で未登記の不動産も対象です。

以下では、主に「親が亡くなり、その子である兄弟姉妹が土地を相続するケース」を扱います。法律上は「被相続人の兄弟姉妹」が相続人になるケースもありますが、この記事でいう「兄弟」は、原則として被相続人の子である兄弟姉妹を指します。

土地相続で兄弟間トラブルが起きる10の理由

兄弟仲が良くても、土地の分け方や評価、利用方法をめぐって意見が割れることがあります。兄弟間でトラブルが生じる理由を説明します。

遺言書がない、または遺言書の内容に争いがある

遺言書がなく、相続人が複数いる場合には、誰がどの財産を取得するかを遺産分割協議で決めます。協議は多数決ではなく、相続人全員の合意が必要です。「兄は実家を残したいが、弟は売却したい」というように希望が食い違えば、話し合いは簡単にはまとまりません。

ただし、遺言書があれば必ず安心というわけでもありません。方式の不備、作成時の判断能力、筆跡や作成経緯への疑義など、遺言書の有効性そのものが争点になることもあるからです。また、特定の子に財産を集中させる内容であれば、後述する遺留分の問題が生じかねません。

遺言書の有効性について当事者間で解決できない場合には、遺産分割調停だけではなく、訴訟など別の手続きによる解決が必要になることがあります。

【h3】遺産の多くを土地が占め、調整に使える現金が少ない

遺産の大半が土地で、調整に使える預貯金が少ないと、兄弟の取得額に差が出やすくなります。たとえば、相続人が兄弟2人で、遺産が2,000万円相当の実家と600万円の預貯金だったとします。法定相続分を基準にすれば、それぞれ1,300万円相当を取得する計算です。

しかし、兄が実家を取得し、弟が預貯金を取得するだけでは、取得額に大きな差が出ます。兄から弟へ代償金を支払えば調整できますが、兄に十分な現金がなければ実行できません。

また、生前に「兄が実家、弟が預貯金」と話していても、相続開始までに医療費や介護費などで預貯金が減ることがあります。土地は残っているのに、調整に使える現金がなくなり、当初予定していた分け方が成り立たなくなるケースです。

【h3】土地を残したい人と売りたい人がいる

実家の土地をめぐっては、「これからも住み続けたい」という相続人と、「売却して現金で相続分を受け取りたい」という相続人が対立することがあります。

たとえば、親と同居していた兄は実家を生活の基盤として残したい一方、遠方に住む弟は土地を使う予定がなく、売却を希望する場合です。どちらの希望にも理由があるため、一方だけに譲歩を求めても解決しにくい問題です。

実家を残すのであれば、土地を取得する人が他の相続人に代償金を支払う方法などを検討します。売却するのであれば、売却価格や時期、税金を含めた手取り額について、兄弟間で認識をそろえておく必要があります。

【h3】土地の評価額について意見が分かれる

土地には「これが唯一の正しい価格」という数字があるわけではありません。税金を計算するための評価額と、市場で実際に売れる価格は目的が違います。そのため、代償分割や遺留分の計算などで土地の価格が重要になると、「いくらで評価するか」が大きな争点になります。

公的な土地評価には、固定資産税評価額、相続税評価額(路線価等)、地価公示などがあります。国土交通省の整理では、相続税路線価は地価公示の水準の8割程度、固定資産税評価は地価公示の水準の7割程度を目途としています。ただし、これは公的評価の水準を示す目安であり、特定の土地の実際の売買価格が必ずその順番になるという意味ではありません。

価格で折り合えないときは、不動産会社の査定を複数取る、不動産鑑定士による鑑定を検討するなど、共通の判断材料を用意します。

【h3】寄与分をめぐって主張が対立する

親の介護や家業の手伝いをしてきた相続人が、「自分は親のために尽くしたのだから多く相続すべきだ」と主張することがあります。

相続人が被相続人の財産の維持・増加について特別の貢献をした場合、その事情を相続分の計算に反映する仕組みが寄与分です(民法904条の2)。ただし、親族として通常期待される範囲の介護や援助をしただけで、当然に寄与分が認められるわけではありません。

寄与分を主張する場合には、介護の期間・内容、仕事を辞めたり減らしたりした事情、費用負担、財産の維持や増加との関係などが問題になります。介護をしていたという事実だけで、寄与分の有無や額が決まるわけではありません。

【h3】特別受益をめぐって過去の援助が問題になる

「兄は住宅購入資金を出してもらった」「弟だけ留学費用を負担してもらった」など、生前に受けた援助をきっかけに、相続人同士で不公平感が表面化することがあります。

相続人が被相続人から遺贈を受けたり、婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として贈与を受けたりした場合、その利益が特別受益として相続分の計算に影響することがあります(民法903条)。

もっとも、教育費や生活費などが特別受益に当たるかは、家庭の資力、支出の目的・金額、他の兄弟への援助状況などによって変わります。過去に親から金銭的援助を受けたというだけで、すべてが特別受益になるわけではありません。

【h3】遺留分をめぐって対立する

親が「実家の土地と建物は長男に相続させる」という遺言書を残していても、他の子の遺留分を侵害していれば、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

遺留分とは、配偶者、子、直系尊属など一定の相続人に保障された最低限の取り分です。現在の制度では、侵害された遺留分について原則として金銭の支払いを求めます。そのため、土地を取得した相続人に十分な現金がなければ、借入れや土地の売却を検討しなければならない場合があります。

なお、ここでいう兄弟は「被相続人の子である兄弟姉妹」です。被相続人自身の兄弟姉妹が相続人になるケースでは、その兄弟姉妹に遺留分はありません(民法1042条)。用語が同じなので混同しないよう注意が必要です。

【h3】先代名義のままの土地が見つかる

父の相続手続きを始めて登記簿を確認したところ、土地の名義が何十年も前に亡くなった祖父のままだった、というケースがあります。

この場合には、祖父の相続から現在までの相続関係をさかのぼって整理しなければなりません。世代が下るほど相続人は増え、すでに亡くなった相続人がいれば、その子や孫まで関係者が広がっていきます。特定の人へ名義を集約しようとすれば、面識のない多数の親族との調整が避けられません。

2024年4月から相続登記は義務化され、施行前に発生した相続も未登記であれば対象です。2024年4月1日より前から相続登記をしていないケースでは、原則として2027年3月31日までが最初の期限になります。古い名義の土地がある場合は早めの確認が必要です。

【h3】税負担や小規模宅地等の特例の扱いで意見が分かれる

土地の分け方によって、相続税の負担が変わることがあります。特に、被相続人の自宅敷地など一定の土地について相続税評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」が関係する場合には、誰がどの土地を取得するかが税額にも影響します。

特定居住用宅地等に該当する土地で要件を満たす場合、330平方メートルまでの部分について相続税評価額を80%減額できます。ただし、特例の対象となり得る宅地等を取得した人が複数いる場合には、どの宅地等について特例を使うかについて対象者全員の同意が必要になる場合があります。

また、相続税の申告期限まで遺産が未分割だと、原則として小規模宅地等の特例を適用しない形でいったん申告しなければなりません。所定の書類を提出し、その後一定期間内に分割が成立すれば適用できる場合もありますが、協議が長引くほど税務手続きは複雑になります。

【h3】誰も土地を相続したがらない

土地相続のトラブルは、「誰が欲しいか」で争う場合だけではありません。遠方にある土地、使い道のない山林や原野、管理に手間がかかる土地などでは、兄弟の誰も取得したくないという押し付け合いになることがあります。

まずは売却できないか、他の遺産との配分で引き受け手を調整できないかを検討します。相続放棄も選択肢にはなりますが、土地だけを選んで放棄することはできず、預貯金など他の相続財産も含めて相続人の立場から離れる手続きです。

相続または一定の遺贈によって取得した土地については、審査を経て国に引き渡す「相続土地国庫帰属制度」を利用できる場合があります。建物がある土地など申請できない土地があり、審査手数料は1筆14,000円、承認された場合には原則として20万円を基本とする負担金が必要です。共有地は共有者全員で申請しなければなりません。

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【h2】相続した土地を兄弟で共有し続けるとトラブルになりやすい

遺産分割の場では、「とりあえず法定相続分どおり共有にしておこう」となることがあります。共有自体は可能ですが、売却や管理について後で意見が分かれることもあります。共有を選ぶなら、管理の担当や費用負担、売却・再協議の時期まで決めておく必要があります。

【h3】土地全体を売却するには共有者全員の同意が必要

共有している土地全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。兄弟3人で共有していれば、1人でも土地全体の売却に反対すると、そのままでは売却できません。

ただし、共有している土地について、何をするにも全員の同意が必要なわけではありません。保存行為は各共有者が単独で行うことができ、共有物の管理に関する事項は原則として持分の価格の過半数で決めます。土地全体の売却のように、共有物そのものを処分する場合とは必要な同意が異なります。

2023年4月に施行された改正民法では、こうした共有物の管理に関するルールも見直されました。ただ、土地全体を売却する場合に共有者全員の同意が必要である点は変わりません。そのため、共有者が増えたり、連絡を取りにくい人が出てきたりすると、売却の合意を得ることが難しくなる可能性があります。

【h3】次の相続によって共有者が増える

共有者の1人が死亡すると、その持分はさらにその人の相続人へ承継されます。兄が亡くなれば、兄の配偶者や子が新たな共有者になる可能性があります。

これが二次相続、三次相続と続けば、当初は兄弟2~3人だけだった共有関係が、甥・姪などを含む多数の共有関係になることがあります。共有者同士に面識がなく、連絡先すら分からない状態になれば、売却や利用について合意することはさらに難しくなります。

※人数は一例です。実際の共有者数や持分は、家族構成や遺言・遺産分割の内容などによって異なります。

【h3】固定資産税や管理の負担でもめることがある

土地を持ち続ければ、固定資産税や草刈り、境界管理などの負担が生じます。建物があれば、修繕や空き家管理も必要です。

実家の近くに住む兄だけが草刈りや役所への対応を続け、遠方の弟は費用も作業も負担していない、といった状態が続くと、不満が蓄積します。共有するなら、固定資産税の負担割合、日常管理の担当、売却や再協議の時期まで決めておくと、後の争いを減らせます。

【h2】土地相続の基本的な流れ

土地相続の手続きは、おおむね次の順で進みます。

手順内容
1. 遺言書と相続人を確認する遺言書の有無を確認し、被相続人の戸籍をたどって法定相続人を確定します。
2. 遺産と不動産の名義を確認する登記事項証明書、固定資産関係資料、預貯金の残高資料などで遺産全体を把握します。先代名義が残っていないかも確認します。
3. 土地の価値と各相続人の希望を整理する査定などで土地の価値を把握し、住みたい人、売りたい人、取得したくない人がいるかを確認します。
4. 遺産分割協議を行う現物分割、代償分割、換価分割などを比較し、相続人全員で分け方を決めます。
5. 遺産分割協議書を作成する合意した内容を明確に書面化します。土地は登記記録に沿って特定できるよう記載します。
6. 相続登記・税務手続きを行う不動産の名義を変更し、相続税の申告が必要な場合は期限内に申告・納付します。

固定資産税の課税明細や固定資産評価証明書だけでは、非課税の私道などを把握しにくい場合があります。被相続人名義の不動産がほかにないか、必要に応じて名寄帳や登記情報も確認するとよいでしょう。

【h2】相続した土地を兄弟で分ける4つの方法

土地を兄弟で分ける方法は、主に「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有」の4つです。どの方法が適切かは、土地の広さや形、利用予定、現金の有無、税金などによって変わります。

方法内容向いている場面主な注意点
現物分割土地そのものを分けて取得する分筆後も各区画に十分な利用価値がある場合分筆で価値が下がる可能性、境界・接道の確認
代償分割1人が土地を取得し、他の相続人へ金銭を支払う実家を残したい人がいる場合土地評価額の合意、代償金を支払う資力
換価分割土地を売却して代金を分ける誰も土地を使わない場合売却条件の合意、譲渡所得税など
共有持分を定めて複数人で所有する短期間で売却するなど共有期間が限定される場合将来の売却・管理・数次相続

【h3】分筆などによる現物分割

現物分割とは、遺産を現物のまま相続人へ分ける方法です。土地が複数ある場合に「土地Aを兄、土地Bを弟」と分ける方法のほか、1筆の土地を分筆して、それぞれが単独所有する方法もあります。

分筆では、同じ面積に分ければ公平になるとは限りません。道路に接する幅、土地の形、方角、建築できる建物の種類などによって価値が変わるためです。分筆後に一方だけが使いにくい土地になるなら、面積が同じでも実質的には公平とはいえません。

分筆を検討するときは、土地家屋調査士による測量・境界確認に加え、分筆後のそれぞれの土地について不動産会社などに価格を確認しておくと判断しやすくなります。

【h3】代償分割

代償分割とは、1人が土地を取得し、その代わりに他の相続人へ代償金を支払って取得額を調整する方法です。

たとえば、相続人が兄弟2人、遺産が2,000万円相当の土地と1,000万円の預貯金であれば、法定相続分を基準にすると1人1,500万円です。兄が2,000万円の土地を取得し、弟が1,000万円の預貯金を取得したうえで、兄が弟へ500万円を支払えば、実質的な取得額を1,500万円ずつにそろえられます。

実家に住み続けたい人がいる場合には有力な方法ですが、土地をいくらと評価するか、土地を取得する人に代償金を支払う余力があるかが問題になります。代償金を分割払いにする場合は、支払期限や遅延時の扱いも協議書に明記しておきます。

【h3】換価分割

換価分割とは、土地を売却して現金化し、その代金を相続人で分ける方法です。土地を1円単位で分けることはできませんが、売却代金なら公平に配分しやすくなります。

誰も土地を利用する予定がなく、売却に反対する人もいないのであれば、共有を長期間続けるよりも整理しやすい方法です。一方、売却価格、売却時期、不動産会社の選定などで意見が割れることがあります。

また、売却によって利益が出れば譲渡所得税がかかる可能性もあります。兄弟間で「売値」だけを見て分割額を決めるのではなく、仲介手数料、測量等の売却費用、税金を差し引いた後の手取り額を確認しておきましょう。

【h3】共有

共有は、土地についてそれぞれ持分を持つ方法です。その場では公平に見えますが、長期間続けるほど売却・管理の合意形成が難しくなる可能性があります。

相続後すぐに売却することが決まっているなど、共有期間が短く目的が明確なケースでは選択肢になり得ます。一方、「今は決められないから」という理由だけで共有にすると、問題を次の世代へ先送りすることになりかねません。

【h3】相続放棄は土地の「分割方法」ではない

相続放棄は、現物分割や代償分割のように「遺産をどう分けるか」を決める方法ではありません。相続放棄をすると、その相続について初めから相続人ではなかったものと扱われます。

そのため、「土地だけはいらないが預貯金は相続する」という使い方はできません。また、同順位の相続人が全員放棄すれば、次順位の相続人に相続権が移ることがあります。

単に「弟に土地を単独取得させたい」という目的であれば、相続放棄ではなく遺産分割協議で弟が土地を取得する方法をまず検討するのが通常です。借金が多いなど、相続そのものを避けたい場合には相続放棄が重要な選択肢になります。

【h2】相続した土地を分筆するときの3つの注意点

土地を分筆すると、面積は同じでも価値や建築条件が変わることがあります。とくに、接道条件を満たさず原則として建築できない区画や、売却しにくい区画ができないか確認が必要です。

【h3】分け方によって土地の価値が変わる

同じ面積でも、間口、奥行き、形状、道路との位置関係などによって土地の価値は変わります。分筆によって細長い区画や不整形な区画ができると、建物の配置が難しくなり、売却価格にも影響することがあります。

分筆前に「各区画がいくらで売れそうか」「それぞれにどのような建物が建てられるか」を確認し、一体のまま売却する場合とも比較して判断しましょう。

【h3】接道条件を確認する

都市計画区域・準都市計画区域内で建築する場合、建築物の敷地は原則として建築基準法上の道路に2メートル以上接している必要があります(建築基準法43条)。例外となる認定・許可制度もありますが、分筆の仕方によって建築が難しい土地を生み出さないよう注意が必要です。

元の土地では問題なく建物を建てられていても、分筆後の区画では接道条件を満たさなくなる場合があります。たとえば、土地を手前と奥に分けると、奥の区画が道路に接しない形になることがあります。一方、道路に沿って分ける場合でも、それぞれの区画が原則2メートル以上道路に接しているかを確認する必要があります。分筆案を決める前に、土地家屋調査士や建築士、行政窓口で確認しておきましょう。

【h3】境界の確認に時間がかかることがある

分筆登記には地積測量図の作成などが必要で、境界が不明確な場合には隣接地の所有者や道路管理者との確認・調整が必要になります。古い土地では、登記上の面積と現況が一致していない場合もあります。

必要な期間や費用は、土地の広さ、境界標の有無、隣接地の数、官有地との境界などによって大きく異なります。「数十万円」「半年」などの一般論だけで予算や日程を決めず、対象地を見てもらい、個別に見積もりを取るのが現実的です。

【h2】相続した土地を売却して兄弟で分けるときの注意点

換価分割は現金で分けられるため公平にしやすい方法ですが、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。税金や売却条件を確認しないまま話を進めると、想定していた金額と実際の受取額が食い違い、新たな不満につながることがあります。

【h3】売却益が出れば譲渡所得税がかかる

土地を売却して利益が出ると、その利益について所得税・住民税がかかります。譲渡所得は、原則として「売却代金-(取得費+譲渡費用)」を基に計算します。

所有期間は、売却した年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで長期・短期に分かれます。相続した土地では、原則として被相続人の取得時期を引き継いで判定します。一般的な税率は、長期譲渡所得が所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%、短期譲渡所得が39.63%です。特例が適用される場合などは計算が異なります。

取得費が分からないときには、売却代金の5%を概算取得費とする方法がありますが、実際の取得費を示す資料が残っていれば、その方が有利になることがあります。古い売買契約書、領収書、建築関係書類などを探してから計算しましょう。

【h3】利用できる税の特例がないか確認する

相続税を納めた人が相続財産を一定期間内に売却した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。期限は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。

また、被相続人が住んでいた一定の空き家とその敷地を売却した場合には、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。相続人が3人以上で一定の場合は上限が2,000万円となります。建築時期、売却時期、売却価格など要件が細かいため、「相続した実家なら必ず3,000万円控除」と理解するのは誤りです。

売却してから要件を満たさないと分かることもあるため、売却方法を決める前に税理士などへ確認しておく必要があります。

【h3】最低売却価格や売却条件を先に決める

共有状態の土地を売る場合、買主が現れてから兄弟の意見が割れると、売却の機会を逃す可能性があります。兄は2,000万円なら売りたいが、弟は2,500万円でなければ売りたくないというように、期待額が違うケースです。

複数の不動産会社から査定を取り、「いくら以上なら売却するか」「値下げはどこまで認めるか」「いつまで売れなければ条件を見直すか」をあらかじめ決めておくと、判断がぶれにくくなります。査定額が高い会社が必ずその価格で売れるとは限らないため、査定の根拠も確認しましょう。

【h3】窓口役の負担を兄弟で共有する

土地の売却では、不動産会社、司法書士、土地家屋調査士、税理士など複数の専門家と連絡を取ることがあります。共有者のうち1人を窓口に決めると手続きは進めやすくなりますが、その人に負担が集中します。

書類の取得費や交通費などの実費をどう精算するか、連絡・立会いを誰が担当するかを決めておくだけでも、「自分だけが動いている」という不満を減らせます。謝礼を設ける場合には、金額や扱いについて兄弟で事前に合意しておきましょう。

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【h2】兄弟で土地を相続するときに確認したい費用と税金

土地相続では、分割する財産の額だけでなく、手続きや税金によって最終的な手取り額が変わります。専門家報酬は依頼内容や土地の状況によって差が大きいため、ここでは公的に確認できる数字を中心に整理します。

項目公的に確認できる金額・計算注意点
相続登記の登録免許税原則として固定資産税評価額×0.4%一定の土地について免税措置が適用される場合があります。
相続税の基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数正味の遺産額が基礎控除額を超えると、原則として申告の検討が必要です。
相続放棄の申述手数料収入印紙800円(申述人1人につき)別途、連絡用郵便料や戸籍等の取得費用がかかります。
遺産分割調停の申立手数料収入印紙1,200円(被相続人1人につき)別途、連絡用郵便料や必要書類の取得費用がかかります。

【h3】相続税がかかるかは基礎控除から確認する

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。たとえば法定相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円です。

ただし、単純に土地の売値から基礎控除を引けば相続税が分かるわけではありません。相続税では、土地・建物・預貯金などの課税価格、債務、非課税財産、生前贈与の加算などを踏まえて計算し、さらに法定相続分を使って相続税の総額を計算した後、実際の取得割合などに応じて各人の税額を求めます。具体的な税額は税理士に確認してください。

【h3】小規模宅地等の特例で土地の評価が大きく下がることがある

被相続人が居住していた宅地などについて一定の要件を満たす場合、小規模宅地等の特例により相続税評価額を大きく減らせることがあります。特定居住用宅地等では330平方メートルまで80%減額されます。

土地が複数ある、特例の対象になり得る土地を複数人が取得するなどの場合には、どの土地を選択するかが相続税額に影響します。土地の分け方を決める前に、税額も試算しておく必要があります。

【h3】専門家の報酬は一律ではない

相続登記を司法書士に依頼する場合、遺産分割の交渉を弁護士に依頼する場合、土地の境界確認を土地家屋調査士に依頼する場合など、必要な専門家はケースによって異なります。

報酬は、財産額だけでなく相続人の人数、戸籍調査の範囲、土地の数、交渉の有無、境界の状況などで変わります。「相場は一律に何万円」と決めつけず、依頼範囲と見積もりを確認してください。相続人同士がすでに対立している場合、他の相続人との交渉代理を依頼できるのは弁護士です。

【h2】土地相続で見落としたくない4つの期限

土地の遺産分割協議そのものに単純な「10か月の期限」があるわけではありません。ただし、相続放棄、税金、登記、特別受益・寄与分には重要な期間制限があります。

手続き・ルール期間ポイント
相続放棄自己のために相続開始があったことを知った時から原則3か月期間の伸長が認められる場合があります。
相続税の申告・納付死亡を知った日の翌日から原則10か月未分割でも申告期限は原則延びません。
相続登記不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。
具体的相続分による遺産分割相続開始から10年が大きな区切り10年後も遺産分割はできますが、原則として特別受益・寄与分を考慮した具体的相続分を主張できなくなります。

【h3】相続登記は原則3年以内

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から原則3年以内に登記を申請します。遺産分割によって不動産を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内にも登記義務があります。

2024年4月1日より前に相続した不動産で、まだ相続登記をしていない場合も対象です。法務省は、こうした施行前の相続について最短で2027年3月31日が期限になると案内しています。

なお、相続登記が必要になるのは義務だからという理由だけではありません。被相続人名義のままでは、買主へ直接所有権移転登記をすることができないため、土地を売却するにも相続登記が前提になります。換価分割を予定している場合には、早めに名義を整理しておく必要があります。

遺産分割がまとまらず、期限までに誰が不動産を取得するか決められない場合には、「相続人申告登記」によっていったん申請義務を履行する方法があります。ただし、相続人申告登記は権利関係を最終的に確定させる登記ではないため、遺産分割後には改めて相続登記が必要です。

【h3】相続開始から10年で特別受益・寄与分の扱いが変わる

2023年4月施行の改正民法により、相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、原則として特別受益や寄与分を考慮せず、法定相続分または指定相続分を基準に分割するルールが設けられました。

10年を過ぎても、遺産分割自体はできます。制限されるのは、特別受益や寄与分を反映した具体的相続分による分割です。一定の例外や経過措置もあるため、長年放置している相続では個別に確認する必要があります。

【h2】土地相続で兄弟の意見が合わない場合の解決方法

兄弟間で合意できれば、家庭裁判所の手続きを使う必要はありません。ただ、土地の評価、寄与分、特別受益、遺留分などが争点になると、当事者だけでは整理しにくいことがあります。

【h3】まず争点と資料を整理する

話し合いを続ける前に、「何について意見が違うのか」を分けて整理しましょう。土地を残すか売るか、評価額はいくらか、介護や生前贈与をどう扱うかなど、争点ごとに必要な資料が違います。

土地の価格なら査定書、介護なら介護記録や支出資料、生前贈与なら通帳や契約書など、争点に応じた資料をそろえると、事実関係を確認しやすくなります。

【h3】連絡が取れない相続人がいる場合は所在を調査する

相続人の一部を除外して行った遺産分割協議は成立しません。長年連絡を取っていない兄弟がいる場合でも、その人を外して手続きを進めることはできないため、まずは所在の確認から始めます。

住所が分からないときは、戸籍の附票を取り寄せて住民票上の住所を調べます。書面を送っても返答がない場合や、その住所に居住していないことが判明した場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、管理人を交えて遺産分割協議を行う方法があります。生死が7年以上明らかでないときは、失踪宣告の申立ても選択肢になるでしょう。

これらの手続きには時間がかかります。相続登記や相続税申告には期限があるため、連絡の取れない相続人がいると分かった時点で、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

【h3】弁護士に相談し、法的な見通しを確認する

「介護したから半分以上もらえる」「親から援助を受けた兄は相続できない」「長男だから実家を全部取得できる」といった主張が、法律上そのまま認められるとは限りません。

相続問題を扱う弁護士に相談すれば、寄与分、特別受益、遺留分、土地評価などについて、どの主張に法的根拠があり、どの程度の解決が現実的かを整理できます。その見通しを踏まえて、交渉を続けるか、調停へ進むかを判断しやすくなります。

【h3】必要に応じて弁護士に交渉を依頼する

本人同士の話し合いでは、相続とは直接関係のない幼少期の出来事や兄弟関係まで持ち出され、協議が進まなくなることがあります。弁護士を代理人として交渉に入れると、主張を法律上の争点に整理し、相手との連絡も任せることができます。

兄弟関係への影響が気になる場合は、まず相談だけ受け、交渉が行き詰まった段階で代理を依頼する方法もあります。

【h3】遺産分割調停・審判を利用する

当事者間の協議で合意できない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停では、調停委員が各当事者から事情を聞き、合意による解決を目指します。

申立手数料は、被相続人1人につき収入印紙1,200円で、別途、裁判所が定める郵便料などが必要です。調停で合意できなければ、原則として審判手続きへ移り、裁判官が遺産の分け方を判断します。

なお、遺言書の有効性そのものや、特定の財産が遺産に含まれるかどうかなど、遺産分割の前提に争いがある場合には、別途訴訟などが必要になることがあります。

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【h2】土地相続のトラブルを防ぐために生前にできる対策

生前なら、遺言の作成、土地の名義確認、資金準備などを進められます。土地が遺産の中心になると分かっている場合は、次の準備を検討します。

【h3】遺言書を作成する

誰に土地を取得させたいのか意思が明確であれば、遺言書に具体的に記載しておくことが重要です。相続人が土地の分け方をゼロから話し合う必要がなくなり、争点を減らせます。

形式不備や紛失のリスクを抑えたいのであれば、公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度が選択肢になります。ただし、特定の子に財産を集中させる場合には、他の子の遺留分や、代償金の原資まで考えて内容を設計しなければなりません。

【h3】土地の名義と価値を確認しておく

生前のうちに登記事項証明書を確認し、自分名義になっていない土地、古い抵当権、共有持分などがないかを整理します。先代名義の土地が見つかった場合、さらに相続人が増える前に対応できる可能性があります。

あわせて、不動産会社の査定などで現在の価値を把握しておけば、家族も「実家はだいたいいくらの財産なのか」を共有できます。土地の価値を知らないまま「兄に実家、弟に預金」という話をすると、後で差額の大きさに気づいて争いになることがあります。

【h3】誰が土地を使いたいのか家族で話しておく

親が「長男に実家を残したい」と考えていても、長男本人は遠方に家を持ち、相続後は売却したいと考えているかもしれません。逆に、親は売却してよいと思っていても、同居する子にとっては生活の場そのものです。

土地を誰に相続させるかを決める前に、将来誰が住むのか、誰が管理するのか、誰も使わないなら売るのかを家族で確認しておくと、相続後の「聞いていなかった」という行き違いを減らせます。

【h3】代償金や納税に使える現金を準備する

遺産の大部分が土地であれば、特定の子に土地を取得させたくても、他の子へ渡す現金が足りません。預貯金を一定程度残す、生命保険を活用するなど、現金化しやすい資産を準備しておけば、代償金や納税資金に充てられます。

死亡保険金は契約内容によりますが、原則として受取人固有の財産にあたり、遺産分割の対象外です。そのため、土地を承継する人の資金準備に用いられます。相続税の計算上、一定の非課税限度額が設けられる場合もあります。ただし契約形態によって税務は変わるため、具体的な設計は税理士などの専門家に確認してください。

【h2】まとめ|土地相続は共有のまま放置しない

土地相続では、土地の評価額、利用方法、寄与分・特別受益、遺留分などが重なると、兄弟間の話し合いが難しくなります。とくに、結論を出さないまま共有を続けると、次の相続で共有者が増え、売却や管理がさらに難しくなります。

相続登記には期限があり、相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益や寄与分を反映した具体的相続分による分割にも制限が生じます。土地の扱いが決まらない、すでに意見が対立しているという場合は、土地の査定資料や贈与・介護の記録などをそろえ、必要に応じて弁護士に相談してください。

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