遺留分が払えないとき不動産で代物弁済できる?現金不足時の対応方法を解説

遺言や生前贈与によって多くの財産を取得した場合でも、ほかの相続人の遺留分を侵害していると、遺留分侵害額請求を受けることがあります。現在の制度では、遺留分は原則として金銭で支払う必要があります。しかし、相続した財産の大部分が不動産で、手元に十分な現金がない場合は、すぐに支払いへ対応できないこともあるでしょう。

このような場合の解決方法の一つに、金銭の代わりに別の財産を渡す「代物弁済」があります。特に、不動産を使って遺留分侵害額の支払いに充てる方法を検討するケースもあります。

本記事では、遺留分侵害額を現金で支払うことが難しい場合に考えられる代物弁済について、不動産を用いる際の注意点や手続きの流れをわかりやすく解説します。

Contents
  1. 遺留分の基本を解説
  2. 遺留分侵害額請求を受けた場合は現金一括で支払うのが基本
  3. 遺留分を現金で用意できない場合の対応方法
  4. 不動産で遺留分を支払う代物弁済とは
  5. 現金で遺留分を支払えないときに検討できるその他の方法
  6. 遺留分を払えない場合の具体例・簡易シミュレーション
  7. 遺留分侵害額請求を放置した場合に起こり得るリスク
  8. よくある質問
  9. 遺留分を払えない場合に不動産で対応する方法まとめ

遺留分の基本を解説

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている、最低限の遺産の取り分のことです。被相続人が遺言書で「すべての財産を特定の人に渡す」と指定していた場合でも、遺留分を持つ相続人は、一定の範囲で金銭の支払いを求めることができます。

遺留分が認められるのは、配偶者、子ども、直系尊属(父母、祖父母など)です。一方で、被相続人の兄弟姉妹には遺留分が認められていません。そのため、兄弟姉妹が相続人になる場合は、遺言によって財産を取得できなかったとしても、原則として遺留分を請求することはできません。

遺留分の割合は、相続人の組み合わせによって異なります。配偶者や子どもが相続人になる場合は、法定相続分の2分の1が遺留分の基準です。相続人が父母や祖父母などの直系尊属だけの場合は、法定相続分の3分の1が遺留分の基準になります。

遺言や生前贈与によって遺留分が侵害された場合に、財産を受け取った人へ遺留分に相当する金銭の支払いを求める権利を「遺留分侵害額請求権」といいます。

遺留分を支払う必要が生じる理由

本来、被相続人は自分の財産を自由に処分できます。生前に誰かへ贈与することも、遺言書で特定の人に財産を残すこともできます。

しかし、被相続人の財産は、残された配偶者や子どもの生活を支えていた場合があります。また、家業を手伝っていた、介護をしていたなど、相続人が財産の維持や形成に関わっていたケースもあります。

このような事情があるにもかかわらず、被相続人の意思だけで全財産の行き先を自由に決められると、残された相続人の生活が大きく不安定になることがあります。

そこで民法では、被相続人の財産処分の自由を尊重しつつ、一定の相続人には最低限の取り分を保障する仕組みを設けています。これが遺留分です。つまり遺留分は、遺言者の意思と残された相続人の生活保障とのバランスを取るための制度といえます。

遺留分侵害額請求には期限がある

遺留分侵害額請求権には期限があります。期限を過ぎると、遺留分が侵害されていても請求できなくなるため注意が必要です。

まず、相続が始まったことと、遺留分を侵害する遺言や贈与があったことを知った時から1年以内に請求しなければなりません。この期間を過ぎると、時効によって請求できなくなる可能性があります。

また、相続開始や遺留分侵害の事実を知らなかった場合でも、相続開始から10年が経過すると、遺留分侵害額請求権は消滅します。

放棄・和解・減額合意が成立する場合もある

遺留分侵害額請求を受けたからといって、必ず請求額どおりに一括で支払わなければならないわけではありません。当事者同士の話し合いによって、請求額や支払い方法を調整できる場合があります。

たとえば、請求者が事情を理解し、請求者が遺留分の請求をしない、または一部だけ請求することに同意するケースがあります。また、不動産を取得した人の資金状況を踏まえ、支払額を減額したり、分割払いにしたりすることもあります。

ただし、遺留分の放棄や減額は、請求者が納得していることが前提です。支払う側が一方的に「払えないから減らしてほしい」と主張しても、当然に認められるわけではありません。

遺留分侵害額請求を受けた場合は現金一括で支払うのが基本

遺留分侵害額請求を受けた人は、原則として請求額を金銭で支払う必要があります。受遺者や受贈者が不動産を取得している場合でも、「現金がないから不動産の一部を渡す」と一方的に決めることはできません。

現在の遺留分制度では、不動産そのものを返すのではなく、遺留分に相当する金額を支払う仕組みになっています。そのため、まずは現金での支払いを前提に対応を考えることになります。

また、支払いが遅れると、遅延損害金が発生する可能性があります。請求を受けた場合は、放置せず、請求額の妥当性や支払い方法を早めに確認することが大切です。

遺留分を現金で用意できない場合の対応方法

不動産など、すぐに現金化しにくい財産を相続した場合、遺留分侵害額請求を受けても、手元の資金だけでは支払えないことがあります。ここでは、遺留分を現金で用意できない場合に確認すべきポイントと、主な対応方法を解説します。

相手に遺留分を請求する権利があるか確認する

まずは、請求してきた相手に遺留分侵害額請求をする権利があるかを確認しましょう。遺留分が認められるのは、配偶者、子ども(代襲相続の場合には孫などの直系卑属)、父母や祖父母などの直系尊属です。

一方、被相続人の兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、兄弟姉妹から請求を受けた場合は、そもそも遺留分侵害額請求が認められない可能性があります。

また、本来は遺留分を持つ立場の人でも、相続放棄をしている場合や、相続欠格・相続廃除によって相続権を失っている場合は、遺留分を請求できません。

請求期限を過ぎていないか確認する

遺留分侵害額請求には期限があります。請求期限を過ぎている場合、遺留分の支払いに応じる必要がない可能性があります。

遺留分侵害額請求権は、請求者が「相続が始まったこと」と「遺留分を侵害する遺言や贈与があったこと」を知った時から1年で時効にかかります。また、請求者がその事実を知らなかったとしても、相続開始から10年が経過すると請求権は消滅します。

減額や請求の取り下げを話し合う

相手に遺留分侵害額請求権があり、請求期限にも問題がない場合は、支払いについて話し合うことになります。ただし、手元に現金がない場合は、すぐに全額を支払うのが難しいこともあるでしょう。

相続財産の大部分が自宅不動産などの換金しにくい財産である場合は、まずその事情を相手に丁寧に説明することが大切です。「支払いたくない」という姿勢ではなく、「支払う意思はあるが、すぐに現金を用意できない」という事情を伝え、現実的な解決策を探りましょう。

なお、不動産の共有や代物弁済は、相手の同意がなければ一方的にはできません。現在の遺留分侵害額請求は金銭請求が原則であるため、支払う側だけの判断で不動産を渡して解決することはできない点に注意が必要です。

話し合いがまとまった場合は、必ず合意書を作成しましょう。支払金額、支払期限、分割回数、遅れた場合の扱いなどを書面に残しておくことで、後日の「言った」「言わない」のトラブルを防ぎやすくなります。

減額交渉や請求取り下げは弁護士に相談する

減額や請求取り下げについて相手と話し合ってもまとまらない場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、法律や裁判例を踏まえて、減額の余地があるか、請求を争えるかを検討できます。

不動産の評価額をめぐる争いでは、不動産会社の査定書や不動産鑑定評価書が重要になることがあります。弁護士に相談すれば、どのような資料を集めるべきかも確認しやすくなります。

また、交渉がまとまらず調停や訴訟に進んだ場合も、弁護士に依頼していれば引き続き対応を任せられます。遺留分の支払いが難しいと感じた段階で、早めに相談しておくと安心です。

すぐに支払えない場合は裁判所に支払期限の猶予を求める

減額や請求取り下げが難しく、すぐに遺留分を支払えない場合は、裁判所に支払期限の猶予を求める方法があります。これは、民法上の「期限の許与」と呼ばれる制度に関するものです。

期限の許与とは、遺留分侵害額をすぐに支払うことが難しい場合に、裁判所の判断によって支払期限を延ばしてもらう制度です。民法第1047条5項に定められています。

ただし、期限の許与は、申し立てれば当然に認められるものではありません。支払えない事情、相続した財産の内容、請求者への影響、支払いの見込みなどを踏まえて、裁判所が判断します。

遺留分侵害額請求訴訟の中で主張するほか、事案に応じて裁判所での手続が必要になることがあります。

期限の許与が認められれば、裁判所が定めた期日まで支払いを待ってもらえる可能性があります。その猶予期間中に、不動産を担保にした借入や、不動産の売却準備などを進めることになります。

支払期限の猶予が難しい場合は不動産売却などを検討する

遺産が不動産しかなく、手元に現金もない場合で、支払期限の猶予も認められないときは、不動産の売却を検討することになります。売却代金を遺留分の支払いに充てる方法です。

ただし、不動産売却は最終手段と考えたほうがよいでしょう。自宅を売却すれば住む場所の問題が生じることがありますし、事業用不動産や賃貸物件を売却すれば、収入や事業にも影響する可能性があります。

また、不動産はすぐに売れるとは限りません。買い手が見つかるまで時間がかかることもあり、希望どおりの価格で売却できない場合もあります。売却を検討する際は、不動産会社への査定依頼や売却スケジュールの確認を早めに進めましょう。

不動産で遺留分を支払う代物弁済とは

代物弁済とは、本来は金銭で支払うべき債務について、当事者同士が合意したうえで、金銭以外の財産を渡して支払いに代える方法です。遺留分侵害額請求の場面では、請求された金額を現金で支払う代わりに、相続した不動産や不動産の持分を相手に譲渡して解決を図る方法が考えられます。

たとえば、遺産の大半が自宅や土地で、手元に十分な現金がない場合、不動産の一部を遺留分権利者に渡すことで、遺留分の支払いに充てるケースがあります。ただし、現在の遺留分侵害額請求は金銭での支払いが原則です。そのため、不動産による代物弁済は、あくまで当事者間の合意によって選べる方法と理解しておきましょう。

不動産による代物弁済を行う際の注意点

不動産による代物弁済は現金をすぐに用意できない場合の選択肢になりますが、実際に進めるには、いくつか注意すべき点があります。

まず、遺留分権利者の同意が必要です。遺留分を請求された側が「現金ではなく不動産で支払う」と一方的に決めることはできません。相手が不動産での弁済を望まない場合は、原則どおり金銭での支払いを求められることになります。

次に、不動産の評価額を明確にする必要があります。どの不動産を、いくらの価値として扱い、その金額を遺留分の支払いに充てるのかを決めなければなりません。不動産の評価額があいまいなままだと、「本当に遺留分に見合う価値があるのか」をめぐって争いになりやすくなります。
また、不動産の評価では、固定資産税評価額、路線価、不動産会社の査定額、不動産鑑定評価額などが参考になります。ただし、不動産評価において固定資産税評価額や路線価は参考資料であり、遺留分の場面では最終的に実勢価格・時価で計算するのが一般的です。

現金で遺留分を支払えないときに検討できるその他の方法

代物弁済は選択肢の一つですが、実務上は分割払いの交渉や不動産売却、金融機関借入などを検討することが多いです。
ただし、どの方法にもメリットと注意点があります。自分の資金状況や不動産の状態、相手方との関係を踏まえて、現実的に対応できる方法を検討しましょう。

分割払いを交渉する

まず検討したいのは、相手方に分割払いを認めてもらう方法です。遺留分侵害額請求は金銭で支払うのが原則ですが、当事者同士が合意すれば、一括払いではなく分割払いにすることも可能です。

交渉する際は、単に「払えない」と伝えるのではなく、なぜ一括で支払えないのか、いつまでにいくら支払えるのかを具体的に説明することが大切です。相続した財産が自宅や土地などの不動産中心で、すぐに現金化できない事情がある場合は、その点も丁寧に伝えましょう。

相手方が分割払いに応じた場合は、支払金額、支払回数、各回の支払日、振込先、支払いが遅れた場合の扱いなどを合意書にまとめます。口約束だけで済ませると、後日「言った」「言わない」のトラブルになるおそれがあります。

ただし、相手方には分割払いに応じる義務はありません。請求者側が早期の一括払いを求めている場合は、交渉が難航する可能性もあります。

不動産を売却して支払い資金を用意する

相続した不動産を売却し、その売却代金から遺留分侵害額を支払う方法もあります。不動産を現金化できれば、支払い原資を確保しやすく、相手方との紛争も終わらせやすくなります。

特に、相続した不動産を自分で使う予定がない場合や、維持管理が負担になっている場合は、売却による解決が現実的な選択肢になることがあります。

一方で、不動産売却には時間がかかります。買い手がすぐに見つかるとは限らず、希望する価格で売れるとも限りません。売却を前提に支払いをする場合は、相手方に売却予定や支払時期を説明し、必要に応じて支払期限の猶予について話し合うことが重要です。

また、任意売却、共有不動産、居住中の不動産では、実務上の注意点があります。

不動産の状況 注意点
任意売却の場合 住宅ローンなどの担保権があると、金融機関との調整が必要になる
共有不動産の場合 共有者全員の同意がなければ売却が難しいことがある
居住中の不動産の場合 自分や家族の住まいを失う可能性があるため、転居先の確保も必要になる

不動産を売却する場合は、遺留分の支払いだけでなく、税金、仲介手数料、住宅ローンの残債、引っ越し費用なども考慮しましょう。売却代金がそのまま手元に残るわけではないため、事前に資金計画を立てることが大切です。

金融機関からの借入により遺留分侵害額を支払う

不動産を手放したくない場合は、金融機関から借り入れて遺留分侵害額を支払う方法もあります。相続した不動産を担保にできる場合は、不動産担保ローンなどを利用して資金を確保できる可能性があります。

この方法のメリットは、不動産を売却せずに支払い原資を用意できる点です。自宅に住み続けたい場合や、賃貸物件として収益を得ている場合には、売却を避けられる選択肢になります。

一方で、借入には返済義務があります。金利の負担も発生するため、毎月の返済額や返済期間を確認し、無理なく返済できるかを慎重に検討しなければなりません。

借入を検討する際は、次の点を確認しましょう。

• 担保にできる不動産か:抵当権の有無や不動産の評価額を確認する
• 借入可能額:遺留分の支払いに必要な金額を借りられるか
• 返済原資:給与、賃料収入、事業収入などから返済できるか
• 金利・返済期間:長期的に無理のない条件か
• 既存の借入:住宅ローンなど既存債務との兼ね合いを確認する

中でも重要なのは、返済原資です。不動産を担保にできても、返済できる見込みがなければ将来的に不動産を失うリスクがあります。借入を利用する場合は、金融機関や専門家に相談しながら、現実的な返済計画を立てましょう。

遺留分を払えない場合の具体例・簡易シミュレーション

遺留分を現金で支払えない場合、代物弁済や分割払い、不動産売却、金融機関からの借入などを検討できます。ここでは、遺留分侵害額が500万円、不動産の評価額が800万円であるケースを例に、主な対応方法を確認します。

例えば、不動産の持分を代物弁済に充てる場合、単純計算では800万円のうち500万円分、つまり8分の5の持分を相手へ移す方法が考えられます。ただし、不動産が共有状態になるため、将来の売却や管理で新たな問題が生じる可能性があります。

不動産全体を渡す場合は、評価額800万円と遺留分500万円との差額300万円を精算する必要があります。また、100万円を現金で支払い、残り400万円分を不動産の持分で支払う方法もあります。不動産を800万円で売却し、費用50万円を差し引いた750万円から500万円を支払えば、手元には250万円が残ります。

そのほか、相手の同意を得て分割払いにしたり、不動産を担保に500万円を借りて一括で支払ったりする方法もあります。いずれの方法も、相手方の同意、不動産の適正な評価、税金や登記費用、返済能力などを確認したうえで進める必要があります。

遺留分侵害額請求を放置した場合に起こり得るリスク

遺留分侵害額請求を受けたにもかかわらず、返答せずに放置したり、理由を示さずに支払いを拒んだりすると、問題が大きくなる可能性があります。遺留分侵害額請求を放置した場合に起こり得るリスクを解説します。

相続財産を仮差押えされる可能性がある

遺留分侵害額請求をめぐって争いがある場合、相手方が訴訟を起こす前に、財産の仮差押えを申し立てることがあります。仮差押えとは、将来の支払いを確保するために、相手方の財産を一時的に処分できない状態にする手続きです。

たとえば、相続した不動産、預貯金、売掛金などの債権が対象になることがあります。仮差押えを受けると、不動産を自由に売却できなくなったり、銀行口座の利用に支障が出たりする可能性があります。

特に、遺留分の支払いのために不動産を売却しようとしている場合、仮差押えによって売却手続きが進みにくくなることもあります。請求を無視し続けると、かえって資金調達の選択肢が狭まるおそれがあるため注意が必要です。

遺留分侵害額請求調停を申し立てられる可能性がある

当事者同士の話し合いで解決できない場合、相手方から家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てられることがあります。調停は、裁判所の調停委員が間に入り、双方の言い分を聞きながら合意による解決を目指す手続きです。

調停では、遺産の内容、不動産の評価額、請求額の計算方法、支払い方法などについて話し合います。裁判所を通じた手続きとはいえ、あくまで話し合いによる解決を目指す場です。

調停の呼び出しを受けた場合は、欠席せず、できる限り出席しましょう。正当な理由なく欠席を続けると、相手方に「話し合う意思がない」と受け止められ、訴訟に進む可能性が高まります。

調停に出席する際は、請求額に疑問がある理由や、すぐに支払えない事情、分割払いなどの希望を整理しておくことが大切です。不動産の評価資料や資金状況を示す資料を準備しておくと、話し合いを進めやすくなります。

遺留分侵害額請求訴訟を起こされる可能性がある

調停で合意できなかった場合や、相手方との話し合いに応じない姿勢を続けた場合は、遺留分侵害額請求訴訟を起こされる可能性があります。

調停は当事者の合意によって解決を目指す手続きですが、訴訟では、双方の主張や証拠をもとに裁判所が判断します。そのため、当事者同士が納得していなくても、裁判所の判決によって支払額が決まることがあります。

訴訟では、遺留分の有無、相続財産の範囲、不動産の評価額、特別受益の有無、時効の成否などが争点になります。特に不動産が関係する場合は、評価額をめぐって争いになりやすく、不動産会社の査定書や不動産鑑定評価書などの資料が重要になります。

訴訟に発展すると、時間や費用の負担も大きくなります。早い段階で請求内容を確認し、交渉や調停で解決できる余地があるかを検討しておくことが重要です。

最終的に財産を差し押さえられるおそれがある

調停で成立した内容や、裁判所の判決で決まった支払い義務を守らない場合、相手方は強制執行を申し立てることがあります。強制執行が行われると、財産を差し押さえられる可能性があります。

差押えの対象は、相続した財産に限られません。本人名義の預貯金、給与、不動産、債権なども対象になることがあります。

よくある質問

最後に、よくある質問と回答をまとめました。

相続財産が不動産しかない場合、遺留分はどう支払う?

相続財産が不動産しかない場合でも、遺留分侵害額請求を受けたときは、原則として金銭で支払います。現在の制度では、遺留分を侵害された人が請求できるのは、不動産そのものではなく、遺留分に相当する金額だからです。

そのため、不動産を相続した人は、手元の預貯金から支払う、不動産を売却して現金を用意する、金融機関から借り入れる、分割払いを交渉するなどの方法を検討します。

また、相手方が同意すれば、不動産や不動産の持分を渡して支払いに代える「代物弁済」を行うこともあります。ただし、代物弁済は一方的にはできません。遺留分権利者が不動産での弁済に同意していることが前提です。

遺留分の支払いを拒否することはできる?

遺留分侵害額請求が正当なものであれば、単に「払いたくない」という理由で支払いを拒否することはできません。遺留分は法律で認められた権利であり、請求者に権利があり、期限内に請求されている場合は、支払い義務が生じる可能性があります。

ただし、請求された金額をそのまま受け入れる必要があるとは限りません。相手に遺留分を請求する権利があるか、請求期限を過ぎていないか、不動産の評価額が適切か、請求者に生前贈与などの特別受益がないかを確認する必要があります。

支払いを完全に拒否できるかどうかは、相続関係や遺言の内容、財産の評価、請求時期などによって変わります。根拠なく拒否すると、調停や訴訟、財産の差押えに発展するおそれがあります。

支払いに納得できない場合や現金を用意できない場合は、無視するのではなく、減額交渉や分割払い、代物弁済などの選択肢を検討しましょう。判断が難しいときは、早めに弁護士へ相談することが重要です。

遺留分を払えない場合に不動産で対応する方法まとめ

遺留分侵害額請求を受けたら、まずは、相手に請求権があるか、請求期限を過ぎていないか、不動産評価額を含めた請求額が妥当かを確認することが大切です。

そのうえで、遺留分侵害額請求を受けると、原則として遺留分は金銭で支払う必要があります。相続した財産が不動産だけであっても、「現金がないから不動産で払う」と一方的に決めることはできません。

ただし、現金での支払いが難しい場合でも、対応方法はあります。相手方と合意できれば、不動産や不動産の持分を渡して支払いに代える「代物弁済」を検討できます。また、不動産を売却して支払い資金を用意する方法や、不動産を担保に金融機関から借り入れる方法、分割払いを交渉する方法もあります。

遺留分を払えないからといって請求を放置すると、調停や訴訟、仮差押え、最終的な差押えに発展するおそれがあります。