共有不動産の問題を、状況別にご案内いたします
共有不動産の問題は、「共有」という一つの言葉の中に、売却、共有持分の買取り、共有物分割、独占使用、賃料、固定資産税、所在の分からない共有者、相続、離婚、住宅ローン、共有持分買取業者との紛争など、性質の異なる多数の問題を含んでおります。最初に、ご自身の状況に近い入口をお選びください。
- 裁判所から訴状又は期日呼出状が届いた場合。答弁書の提出期限及び期日を確認してください。応答しないと事実関係について不利になるおそれがあります。分割方法は、裁判所が法定の要件と具体的事情を踏まえて判断します。
- 共有持分買取業者から短い期限を切って回答を求められている場合。業者が求める回答期限と、裁判所の期限や契約・法律に基づく期限とは区別してください。回答内容や合意が後の権利関係に影響することがあります。
- 他の共有者が不動産全体の売却又は工事を進めようとしている場合。
- 共有者又は相続人の所在が分からず、手続が止まっている場合。
- 固定資産税又は住宅ローンの滞納があり、差押え又は競売のおそれがある場合。
状況からお選びください
共有不動産の問題は、売却、共有持分の買取り、共有物分割、独占使用、賃料、費用の負担、所在の分からない共有者、相続、共有持分買取業者との紛争など、性質の異なる問題を含みます。まず、現在の御状況に最も近い入口をお選びください。
- 共有不動産の全体を売却したい不動産全体の売却、他の共有者への売却、共有物分割、共有持分のみの売却を、税引後の手取額で比較いたします。
- 共有物分割を請求したい協議が調わないときは、相手方の同意なく分割を請求できます。求める分割の方法を請求の前に定めます。
- 共有持分だけを売って現金化したい他の共有者への売却、全体の売却、共有物分割による換価と、手取額を比べてからお決めください。
- 共有持分買取業者から連絡が届いた買取りの要求、使用料の請求、共有物分割訴訟への対応を整理いたします。回答をされる前にお読みください。
- 共有物分割の訴えを起こされた訴状、答弁書の提出期限、求められている分割の方法、価格、支払能力を確認いたします。
- 共有者の一人が独り占めしている持分を超える使用の対価の償還、明渡しの可否、共有関係の解消を併せて検討いたします。
- 賃料を分配してもらえない賃料債権の帰属、収支の報告、必要費及び管理費の精算を整理いたします。
- 共有者と連絡が取れない所在等不明共有者の持分の取得及び譲渡権限の付与、相続人の調査を進めます。
- 相続した実家に兄弟が住み続けている明渡し、使用の対価、遺産分割、共有物分割のいずれによるかを判断いたします。
- 共有者の判断能力が低下している成年後見等の申立てから処分までの手順と期間をご説明いたします。
共有不動産の基本
制度の名称が分からない段階でも、まず総論をお読みいただければ、ご自身の問題がどの類型に当たるかを判別できます。
- 共有不動産の紛争を弁護士に依頼するとき共有持分の買取り、分割及び明渡しの進め方を通しで解説する代表記事です。
- 不動産の共有持分とは共有持分の意味、利点と欠点、生じやすい紛争を整理いたします。
- 共有不動産トラブルの解決方法共有をめぐる紛争の全体像を概観いたします。
- 遺産共有の持分が含まれる場合の手続の違い遺産分割によるのか共有物分割によるのかで、進むべき裁判所が異なります。
- 共有不動産・共有持分の相続トラブル相続を原因として共有が生じた場合に特有の問題を扱います。
- 共有物分割が権利の濫用として認められない場合分割の請求が退けられた裁判例を紹介いたします。
- 共有不動産について何をするのに誰の同意が必要か変更行為、管理行為、保存行為の区別と、決め方を整理いたします。
- 共有物の分割をしない旨の契約をしたとき5年の期間、更新、登記及び第三者に対する効力をご説明いたします。
- 共有持分を放棄したときに何が起こるか民法第255条の効果と、登記及び贈与税の取扱いを解説いたします。
- 他の共有者が共有持分を第三者へ売ろうとしているとき止められる場合と、先に手を打つ方法を整理いたします。
売却・買取り・価格
共有持分だけを売るのか、不動産全体を売るのか、他の共有者に買っていただくのかで、手取額も必要な同意も異なります。
- 共有名義の不動産を売却する方法手続、流れ、必要書類及び売却時の留意点を解説いたします。
- 共有持分不動産の売却の方法共有持分のみを売却する場合の具体的な紛争と対処を解説いたします。
- 共有不動産の売却トラブルの解決方法売却の場面で生じやすい対立の類型と解き方を整理いたします。
- 連絡はつくが賛否を示さない共有者がいる場合反対の理由を特定し、条件交渉へ転換する方法をご説明いたします。
- 買手が付かない実家を手放すための選択肢売却が進まない場合に検討できる手段を並べて比較いたします。
- 共有持分買取業者から買取りを求められたときの価格交渉価格の比較の基準と、交渉の順序をご説明いたします。
- 離婚後も夫婦の共有名義のまま残った家をどうするか財産分与、持分の買取り及び住宅ローンの整理を扱います。
- ペアローンで購入した住宅を離婚後に一方が取得したいとき2本の債務の一本化と金融機関の審査を解説いたします。
- 住宅ローンと抵当権が残っているときの共有関係の解消金融機関との調整を含めた手続の順序をご説明いたします。
共有物分割
現物分割と価格賠償による分割の可否、競売が命じられる条件、それぞれに必要な主張及び資料を扱います。
- 共有物分割請求とは利点、欠点及び手続の流れを解説いたします。
- 共有物分割請求手続きの流れ協議から訴訟に至るまでの各段階を順にご説明いたします。
- 共有物分割請求裁判の手続と流れ訴えの提起から判決及びその後の手続までを扱います。
- 共有物分割の訴状が届いた場合の答弁の組み立て請求の趣旨の読み方と、答弁の方針の立て方を扱います。
- 共有物分割の訴えに要する期間と費用の目安手数料、郵券、鑑定費用等の内訳を整理いたします。
- 賠償による分割において支払能力をどう示すか預貯金、融資の内諾等により代償金の支払能力を裏付けます。
- 競売による分割を避けて自ら取得する方法全面的価格賠償を求めるための準備を扱います。
- 共有物分割の訴訟を和解で終えるとき代金の支払、明渡し及び登記の条件の定め方を整理いたします。
- 共有物分割の判決が確定した後にすること登記の申請、代償金の決済及び競売の申立てを扱います。
- 共有持分買取業者から共有物分割の訴えを起こされたとき答弁の方針と、自ら取得するための準備をご説明いたします。
- 残債務が価格を上回っている場合の共有物分割代償金の算定と、抵当権者との調整を解説いたします。
使用・賃料・費用の精算
共有関係を解消する前でも、使用の対価、賃料の分配、費用の負担の精算だけを求めることができます。
- 共有持分を超える使用の対価を償還する義務令和5年4月1日施行の改正により明文化された義務を解説いたします。
- 共有者の一人が独占して使用している場合の対価の請求請求の根拠と、請求できる範囲を整理いたします。
- 独占使用に対する対価の金額をどのように算定するか賃料相当額を基礎とする算定の考え方を扱います。
- 過去の分をどこまで遡って請求できるのか消滅時効その他の制約を踏まえて検討いたします。
- 明渡しを当然には求められない理由と代わりの手段占有する共有者に対する請求の限界と、採り得る手段を扱います。
- 使用貸借が続いていると主張された場合無償使用の合意の有無をどのように争うかを扱います。
- 実家の鍵を渡してもらえない場合にできること立入りを拒まれた場合の権利関係と手続を扱います。
- 共有する賃貸不動産の賃料の分配を求める方法賃料債権の帰属と、請求の方法を解説いたします。
- 管理している共有者に収支の報告を求める方法収入と支出の開示を求める根拠を整理いたします。
- 管理費用及び修繕費の負担の割り振り保存のための費用と価値を高める工事とを区別いたします。
- 共有不動産・共有持分の使用・収益トラブル使用及び収益をめぐる紛争の全体像を概観いたします。
- 共有する建物の賃貸借を更新し、又は解除するとき全員の同意が必要になる場合を整理いたします。
- 他の共有者が無断で工事や取壊しをしたとき差止め、原状回復及び損害賠償の可否をご説明いたします。
- 共有持分買取業者が敷地や建物に立ち入ろうとするとき拒むことができる範囲と、条件の定め方を整理いたします。
所在の分からない共有者・判断能力・相続
共有者が確定しないままでは、交渉も訴訟も進みません。まず当事者を確定させる手続から入ります。
- 共有者の現在の住所を調べる方法住民票、戸籍の附票等による調査の手順を扱います。
- 裁判所の決定により所在の不明な共有者の共有持分を取得する手続民法第262条の2による持分の取得を解説いたします。
- 所在の分からない共有者がいる不動産を売却する方法民法第262条の3による譲渡権限の付与を解説いたします。
- 不動産の共有者が行方不明の場合の問題解決方法採り得る制度を並べて比較いたします。
- 相続人の一部と連絡が取れない場合の遺産分割の進め方遺産分割の手続における対応を扱います。
- 何代も名義が変わっていない不動産の相続人を確定させる作業数次相続の場合の当事者の確定を扱います。
- 判断能力が低下した共有者がいる不動産の処分の進め方成年後見等を用いる場合の留意点を扱います。
- 成年後見の申立てから売却までの手順と期間居住用不動産の処分の許可を含めてご説明いたします。
- 実家の相続でトラブルになる原因相続人の間で揉めやすい類型と対処を扱います。
評価・鑑定・税
共有不動産では、どの価格を何の目的で用いるかを混同しないことが結論を分けます。
- 不動産の評価の基準となる時点はいつか評価の基準時により結論が変わる場面を扱います。
- 不動産の鑑定を求める場合の手続と費用訴訟における鑑定の申出と費用の負担を扱います。
- 不動産評価額の種類時価、相続税路線価、固定資産税評価額等の調べ方と使い分けを解説いたします。
- 相続税評価額と実勢価格の違いが取得額に与える影響評価の相違が手取額に及ぼす影響を扱います。
- 遺産分割における不動産の評価額の決め方当事者間で評価が折り合わない場合の進め方を扱います。
- 賃貸中の不動産及び借地権付きの不動産の評価の考え方利用の制約が評価に及ぼす影響を扱います。
- 共有物分割の場面で共有減価は考慮されるのか共有持分のみを売却する場合の価格との違いを解説いたします。
- 共有関係を解消したときに生ずる税金譲渡所得、不動産取得税及び登録免許税の取扱いを扱います。
- 共有不動産の紛争を弁護士に依頼する場合の費用交渉、訴訟、鑑定に要する費用の内訳をご説明いたします。
相談前に、金額・資金・費用・期間を比較する
売却価格だけでなく、受け取る額、支払う額、債務・税金・費用及び必要な期間を同じ条件で比較します。取得を希望される方と現金化を希望される方では、確認の順序も異なります。
仮想事例で見る共有不動産の解決方法
以下は、相談時に検討する事項を説明するための仮想事例です。当事務所が受任した実案件、解決実績又は依頼者の体験談ではありません。同じ状況で同じ結果が得られることを示すものではありません。
仮想事例1 居住する共有者が不動産を取得する場合
兄弟3名が各3分の1を所有し、そのうち1名が居住しているものとします。他の2名は現金化を希望し、居住者は取得を希望しています。
検討する争点
全体の評価、他の2名に支払う代金、居住者の支払能力、過去の費用及び決済時期が問題になります。居住者が他の持分を取得すれば、単独所有となる条件で評価します。
合意で解決する仮定
全体評価を9,000万円とし、各持分を3,000万円とする合意が成立したと仮定します。居住者が他の2名へ合計6,000万円を支払い、持分移転登記を行います。実際には、融資、担保権、税金及び費用を別に確認します。
仮想事例2 全体売却への反対理由を条件に置き換える場合
2名が各2分の1を所有し、一方は売却を希望するものの、居住している他方は明渡しの時期が決められず反対しているものとします。
検討する争点
争点は売却そのものだけでなく、居住の権原、引越しまでの時間、費用及び買主に引き渡す条件です。売却価格だけを繰り返し提示しても、明渡しの問題は解決しません。
合意で解決する仮定
両者が販売期間、引渡し時期、費用の精算に合意し、不動産全体を第三者へ売却できたと仮定します。買主との契約条件と共有者間の合意を揃え、明渡しと決済を実行します。買主の確保や合意成立を保証するものではありません。
仮想事例3 買取業者から分割を請求された場合
共有持分の一部を取得した業者が、居住する共有者に買取りを求め、その後、共有物分割の訴えを提起したものとします。
検討する争点
訴状の期限、業者の持分、価格、居住の経緯、使用対価及び取得資金を確認します。業者の取得価格と、こちらが取得する際の価格が当然に一致するわけではありません。
取得が難しい場合の仮定
居住者の資金不足により自己取得が難しい場合、全体売却と明渡し期間を組み合わせた和解を検討します。業者が同意しない場合もあり、裁判による分割の結果を併せて検討する必要があります。
ご自身の事情に即して選択肢を比較する
共有者の希望、価格、支払能力、占有、担保権及び税務により、実行できる方法は異なります。上記の仮想例と異なる事情も含めてお知らせください。
共有不動産の相談内容の記載例
問い合わせの際は、分かる範囲で次の事項をお知らせください。訴状が届いている場合は、提出期限及び期日を先に記載してください。
相談内容欄に記載する事項
不明な事項を推測で埋める必要はありません。
- 対象不動産の市区町村及び土地・建物の別
- ご自身の持分と共有者の人数
- 相手方の氏名又は会社名
- 現在の使用者と賃料収入の有無
- 相続による共有か、購入等による共有か
- 通知又は訴状の有無、受領日、提出期限及び裁判期日
- 不動産全体の参考価格、ご自身の持分の提示額及び住宅ローン等の有無
- 取得、売却、居住継続、費用精算等の希望
- 既に依頼している弁護士の有無
金額の意味を区別してください
不動産全体の時価と、ご自身の持分に関する提示額は分けて記載してください。査定書等がない場合は、その旨を記載してください。機密資料の送付方法は、受付後にご案内する方法をご利用ください。
問い合わせのみで訴訟対応を受任したことにはなりません。期限が近い方は電話でもその旨をお知らせください。
当事務所のご案内
共有関係を解消する方法は一つではありません。現金化を優先されるのか、不動産を取得されるのか、居住又は事業を継続されるのかにより、必要な法律上の手続と価格の評価が異なります。個別の記事から、対応するご相談の入口へ直接お進みいただいて差し支えありません。
ご相談の際は、相手方の氏名又は会社名、共有者の人数・持分、利用状況及び希望する解決をお知らせください。訴状が届いている場合は提出期限と期日もお知らせください。不明な事項は不明のままで差し支えありません。
最終更新日 令和8年9月12日

