所在の分からない共有者がいる不動産を売却する方法
祖父の代から名義がそのままになっている土地を売却しようとしたところ、共有者の一人が数十年前に音信不通となっており、住所も生死も分からないことが判明いたしました。あるいは、共有者の登記上の住所へ手紙を送っても宛先不明で戻ってきてしまい、買主が見付かっているにもかかわらず契約に進むことができません。このようなご相談をいただくことがあります。
結論から申し上げます。所在の分からない共有者がいる場合であっても、不動産を売却する道は用意されています。令和3年の民法及び不動産登記法の改正により、裁判所の決定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得し、又はその持分を第三者に譲渡する権限の付与を受ける制度が設けられました。これに加えて、所有者不明土地管理命令、所有者不明建物管理命令、不在者財産管理人、失踪の宣告といった従前からの手続もあります。どの手続を選ぶべきかは、共有者が所在不明である理由、持分の性質、目的が売却であるか管理であるかによって変わります。本記事では、手続の全体像と選び方を整理いたします。
第1節 なぜ売却できないのか
1 共有物の処分には全員の同意が必要です
共有物に変更を加える行為については、他の共有者全員の同意を得なければならないとされています(民法第251条第1項)。不動産の全部を第三者に売却することは、共有物の処分に当たりますので、共有者全員が売買契約の当事者となる必要があります。
したがって、共有者の一人でも所在が分からず、その意思を確認することができない場合には、不動産の全部を売却することができません。買主が見付かっていても、契約に進むことができないという状態が生じます。
表1 共有物についての行為の区分と要件
| 区分 | 行為の例 | 要件 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 保存行為 | 現状を維持する修繕、不法占有者に対する明渡しの請求 | 各共有者が単独で行うことができます | 民法第252条第5項 |
| 管理行為 | 使用の方法の決定、一定の期間を超えない賃貸借の設定 | 持分の価格の過半数で決します | 民法第252条第1項 |
| 変更(軽微でないもの) | 売却、建物の取壊し、大規模な増改築 | 共有者全員の同意を要します | 民法第251条第1項 |
| 軽微な変更 | 形状又は効用の著しい変更を伴わないもの | 持分の価格の過半数で決します | 民法第251条第1項、第252条第1項 |
2 持分のみを売却することはできます
自己の持分のみを処分することは、他の共有者の同意を得ることなく行うことができます。持分は、各共有者に帰属する権利だからです。
もっとも、共有持分のみを買い受けようとする第三者は限られています。買主は不動産を自由に使用することができず、他の共有者との間で改めて協議又は訴訟を行う必要があるからです。そのため、持分の売却価格は、不動産の全体の価格に持分割合を乗じた額を相当程度下回ることが通常です。
不動産の価値を適正に実現するためには、不動産の全部を売却する必要があります。そのために、所在の分からない共有者の持分をどう処理するかが問題となります。
第2節 所在等が不明な共有者に関する制度
1 2つの制度が用意されています
令和3年の改正により、所在等が不明な共有者がいる場合について、2つの制度が設けられました。
表2 所在等不明共有者に関する2つの制度
| 制度 | 内容 | 根拠 | 適する場面 |
|---|---|---|---|
| 持分の取得 | 裁判所の決定により、申立てをした共有者が所在等不明共有者の持分を取得いたします | 民法第262条の2 | 自らが不動産を保有し続けたい場合、共有者の数を減らしたい場合 |
| 持分の譲渡権限の付与 | 裁判所の決定により、申立てをした共有者が、所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡する権限を与えられます | 民法第262条の3 | 不動産の全部を第三者に売却したい場合 |
2 持分の取得の制度
裁判所は、共有者の請求により、その共有者に所在等不明共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができます(民法第262条の2第1項)。
この裁判により、申立てをした共有者は所在等不明共有者の持分を取得いたします。共有者の数が減り、場合によっては単独所有となります。所在等不明共有者は、持分を失う代わりに、持分の時価に相当する額の支払を請求する権利を有します(民法第262条の2第4項)。
表3 持分の取得の制度の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立てをすることができる者 | 共有者です |
| 対象 | 不動産の共有持分です |
| 前提 | 共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないことです |
| 手続 | 裁判所への申立て、公告及び異議の届出のための期間の経過を経て、裁判がなされます |
| 供託 | 裁判所が定める額の金銭を供託することを要します |
| 効果 | 申立てをした共有者が持分を取得いたします |
| 所在等不明共有者の権利 | 持分の時価に相当する額の支払を請求することができます |
| 制限 | 共有物分割の訴え等が係属し、他の共有者が異議を述べた場合には、持分の取得の裁判をすることができません |
なお、他の共有者が複数いる場合において、複数の共有者が請求をしたときは、それぞれの持分の割合に応じて所在等不明共有者の持分を按分して取得することとされています。詳細な手続はFD07において扱います。
3 持分の譲渡権限の付与の制度
裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、所在等不明共有者以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として、所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができます(民法第262条の3第1項)。
やや条文が読みにくいのですが、要するに、他の共有者の全員が同じ買主に持分を売る場合に限り、所在等不明共有者の持分も併せてその買主に売ることができる権限を与える制度です。不動産の全部を第三者に売却することが目的であるときは、この制度が適します。
表4 持分の譲渡権限の付与の制度の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立てをすることができる者 | 共有者です |
| 停止条件 | 所在等不明共有者以外の共有者の全員がその持分の全部を同一の者に譲渡することです |
| 譲渡の相手方 | 特定の者に限られます。誰にでも売れる包括的な権限ではありません |
| 供託 | 裁判所が定める額の金銭を供託することを要します |
| 期間の制限 | 裁判の効力が生じた後、一定の期間内に譲渡をしなければ、裁判はその効力を失う旨が定められています |
| 所在等不明共有者の権利 | 譲渡の対価のうち持分に応じた額の支払を請求することができます |
期間の制限があるため、買主との交渉、資金の準備、決済の日程といった売却の段取りを、裁判の申立てと並行して進める必要があります。この点が実務上の要点です。
4 2つの制度の使い分け
表5 持分の取得と譲渡権限の付与の使い分け
| 目的 | 適する制度 | 理由 |
|---|---|---|
| 自らが不動産を保有し続けたい | 持分の取得 | 自らが持分を取得し、共有関係を整理することができます |
| 不動産の全部を第三者に売却したい | 持分の譲渡権限の付与 | 買主が特定していれば、一度の手続で全部を移転することができます |
| 買主が未定である | 持分の取得を先行させることが考えられます | 譲渡権限の付与は特定の買主を前提といたします |
| 他の共有者の一部が売却に反対している | いずれの制度も直ちには機能いたしません | 譲渡権限の付与は他の共有者の全員が譲渡することを条件といたします |
| 資金を用意することが難しい | 持分の譲渡権限の付与 | 持分の取得は供託金を自ら用意する必要があります |
なお、いずれの制度についても、供託すべき金額は不動産の評価を前提として裁判所が定めます。持分の取得を選ぶ場合には、供託金を自ら準備する必要があります。譲渡権限の付与を選ぶ場合には、売却代金から支払うことができるかどうかという資金の流れの設計が必要となります。
5 遺産共有持分についての制限
これらの制度には、相続に関する重要な制限があります。所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合であって、共同相続人の間で遺産の分割をすべきときは、相続の開始の時から10年を経過していないときは、これらの制度を用いることができないとされています(民法第262条の2第3項、第262条の3第2項)。
すなわち、亡くなった方の名義のまま遺産分割が終わっていない不動産について、相続人の一人が所在不明であるという事案では、相続の開始から10年が経過していなければ、これらの制度を使うことができません。この場合には、後述する不在者財産管理人又は失踪の宣告の手続によることになります。
表6 遺産共有持分が含まれる場合の整理
| 状況 | 所在等不明共有者の制度の可否 | 代替の手続 |
|---|---|---|
| 遺産分割が済んでおり、通常の共有となっている | 用いることができます | ― |
| 遺産分割が未了であり、相続開始から10年を経過している | 用いることができます | ― |
| 遺産分割が未了であり、相続開始から10年を経過していない | 用いることができません | 不在者財産管理人、失踪の宣告 |
第3節 その他の手続
1 不在者財産管理人
従来から用いられてきた手続として、不在者財産管理人の選任があります。従来の住所又は居所を去った者について、家庭裁判所は、利害関係人等の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができます(民法第25条第1項)。
選任された管理人は、不在者の財産を管理いたします。管理人が不動産を売却するには、権限を超える行為として家庭裁判所の許可を得る必要があります(民法第28条)。
表7 不在者財産管理人の手続の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立て先 | 不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所です |
| 申立てをすることができる者 | 利害関係人、検察官です。共有者は利害関係人に当たります |
| 選任される者 | 事案により、弁護士等の専門職又は親族が選任されます |
| 予納金 | 管理人の報酬及び管理の費用に充てるため、申立人が予納いたします |
| 売却の可否 | 家庭裁判所の権限外行為の許可を得て売却いたします |
| 管理の終了 | 不在者が現れた場合、失踪の宣告がなされた場合、管理すべき財産がなくなった場合等に終了いたします |
| 特徴 | 不在者の財産の全体を管理いたします。共有持分に限られません |
不在者財産管理人は、不動産の売却のみならず、遺産分割協議への参加も担うことができます。したがって、遺産分割が未了であり、かつ相続の開始から10年を経過していない事案においては、この手続が中心的な選択肢となります。
留意すべき点は、管理が長期に及び得ることと、予納金の負担が生じることです。管理人は、不在者が現れるか、失踪の宣告がなされるまで、その職務を継続いたします。
2 失踪の宣告
不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます(民法第30条第1項)。また、危難に遭遇した者について、その危難が去った後1年間生死が明らかでないときも、失踪の宣告をすることができます(民法第30条第2項)。
失踪の宣告を受けた者は、死亡したものとみなされます(民法第31条)。したがって、その者の持分は相続人に承継されることになり、相続人との間で協議を進めることができます。
表8 失踪の宣告の手続の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 要件 | 生死が7年間明らかでないこと(普通失踪)等です |
| 申立て先 | 不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所です |
| 手続 | 調査、公告及び一定の期間の経過を経て宣告がなされます |
| 期間 | 公告の期間を含め、相応の期間を要します |
| 効果 | 死亡したものとみなされ、相続が開始いたします |
| 留意点 | 相続人が更に所在不明である場合には、問題が繰り返されます |
| 取消し | 生存が判明した場合には宣告が取り消され、財産関係の調整が必要となります |
生死が不明であり、かつ相当の年数が経過している事案では、失踪の宣告により根本的な整理が可能となります。もっとも、公告の期間を含めて相応の時間を要しますし、宣告により発生した相続の関係者が更に多数となる可能性もあります。
3 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令
令和3年の改正により、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地及び建物について、裁判所が管理人による管理を命ずる処分をすることができる制度が設けられました(所有者不明土地管理命令につき民法第264条の2、所有者不明建物管理命令につき民法第264条の8)。
この制度は、共有持分についても用いることができます。すなわち、所在等が不明な共有者の持分を対象として管理命令を発することができます。選任された管理人は、裁判所の許可を得て、対象となる持分を処分することができます。
表9 所有者不明土地管理命令等と不在者財産管理人の比較
| 項目 | 所有者不明土地管理命令等 | 不在者財産管理人 |
|---|---|---|
| 管理の対象 | 対象となった土地、建物又は共有持分に限られます | 不在者の財産の全体に及びます |
| 所有者の特定 | 所有者を知ることができない場合にも用いることができます | 不在者が特定されていることが前提となります |
| 申立て先 | 地方裁判所です | 家庭裁判所です |
| 遺産分割への参加 | 管理の対象が財産に限定されるため、想定されていません | 参加することができます |
| 終了 | 管理すべき財産の処分等により終了いたします | 不在者が現れるまで継続し得ます |
所有者そのものを特定することができない場合、すなわち相続人が誰であるかも分からないという場合には、不在者財産管理人の手続を用いることが難しく、この管理命令の制度が有力な手段となります。詳細はFD09において扱います。
4 手続の選び方
表10 所在不明の共有者がいる場合の手続の選択
| 事案の状況 | 選択の候補 |
|---|---|
| 通常の共有であり、自らが取得したい | 所在等不明共有者の持分の取得(民法第262条の2) |
| 通常の共有であり、買主が特定しており全部を売却したい | 所在等不明共有者の持分の譲渡権限の付与(民法第262条の3) |
| 遺産分割が未了で、相続開始から10年を経過していない | 不在者財産管理人(民法第25条) |
| 生死が7年以上不明である | 失踪の宣告(民法第30条) |
| 共有者が誰であるかも特定できない | 所有者不明土地管理命令又は所有者不明建物管理命令(民法第264条の2、第264条の8) |
| 連絡はつくが返事がない | 賛否を明らかにしない共有者がいる場合の裁判(民法第252条第2項) |
| 売却ではなく共有関係の解消が目的である | 共有物分割の訴え(民法第258条) |
第4節 案件において確認すべき事項
1 所在の調査を尽くしていることが前提となります
いずれの制度も、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないことを前提といたします。したがって、申立てに先立って、必要な調査を尽くしたことを裁判所に対して明らかにする必要があります。
表11 所在の調査において行う事項
| 区分 | 調査の内容 |
|---|---|
| 登記 | 登記事項証明書により登記上の住所及び氏名を確認いたします |
| 住民票 | 登記上の住所を基に、住民票及び住民票の除票を取得いたします |
| 戸籍 | 戸籍及び戸籍の附票により、住所の変遷及び生死を確認いたします |
| 現地 | 判明した住所へ現地に赴き、居住の状況を確認いたします |
| 郵便 | 判明した住所へ郵便を送付し、到達の有無を確認いたします |
| 親族 | 判明している親族に対して照会いたします |
| 死亡の場合 | 死亡している場合には、その相続人を戸籍により調査いたします |
これらの調査の結果は、報告書及び資料として整理し、申立ての際に提出いたします。調査の程度が不十分であると判断されれば、申立てが認められません。
2 費用に関する確認事項
表12 手続に要する費用の項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 供託金 | 所在等不明共有者の持分の時価等を基礎として裁判所が定める額です |
| 予納金 | 不在者財産管理人等の報酬及び費用に充てるものです |
| 公告の費用 | 官報への掲載等に要する費用です |
| 鑑定又は評価の費用 | 不動産の評価のために要する費用です |
| 裁判所に納める費用 | 申立ての手数料、郵便切手等です |
| 登記の費用 | 登録免許税、司法書士の報酬等です |
| 弁護士の費用 | 事案の内容により異なります |
金額は事案及び不動産の評価によって大きく異なりますので、ご相談の際に見通しをお示しいたします。
3 期間に関する確認事項
いずれの手続も、公告及び異議の届出のための期間が設けられていますので、申立てから結論が出るまでに相応の期間を要します。買主との売買契約の締結を予定している場合には、契約の条件として手続の完了を前提とする定めを置くこと、決済の時期に余裕を持たせることといった対応が必要となります。
表13 売却を目的とする場合の段取り
| 順序 | 事項 |
|---|---|
| 1 | 登記及び相続関係の調査により共有者を確定させます |
| 2 | 所在不明の共有者について所在の調査を行います |
| 3 | 用いるべき手続を選定いたします |
| 4 | 他の共有者との間で売却の方針について合意いたします |
| 5 | 不動産の評価を取得いたします |
| 6 | 買主の選定及び条件の交渉を行います |
| 7 | 裁判所への申立てを行います |
| 8 | 公告及び異議の届出のための期間が経過いたします |
| 9 | 供託を行い、裁判を得ます |
| 10 | 売買契約の締結及び決済を行い、登記を申請いたします |
第5節 弁護士に相談する意味
所在の分からない共有者がいる不動産の問題は、令和3年の改正により制度上の出口が用意された反面、手続の選択が複雑になった領域です。
実務上の難しさは3点あります。第一に、どの手続を用いるべきかの判断です。持分の取得と譲渡権限の付与のいずれによるか、遺産共有持分が含まれるために不在者財産管理人によらざるを得ないかといった判断は、共有者の構成、相続の開始時期、目的が保有か売却かによって変わります。誤った手続を選べば、時間と費用が無駄になります。
第二に、所在の調査の水準です。裁判所に対して調査を尽くしたことを示す必要があり、戸籍及び附票の追跡、現地の確認、関係者への照会といった作業を積み重ねる必要があります。
第三に、売却との段取りの調整です。とりわけ持分の譲渡権限の付与の制度には期間の制限がありますので、裁判の手続と売買の手続とを同時並行で管理する必要があります。
弁護士が行う業務は、次のとおりです。第一に、登記及び戸籍から共有者を確定させることです。第二に、所在の調査を実施し、その結果を裁判所に提出できる形に整理することです。第三に、事案に適した手続を選定することです。第四に、供託金及び予納金を含む費用と期間の見通しを立てることです。第五に、裁判所への申立て、他の共有者との調整、売買の手続を一体として進めることです。
具体的な進め方は、共有者の構成、不動産の内容、買主の有無、資金の状況等により異なり、当事務所が個別案件を通じて蓄積してきた実務上のノウハウにも属するため、本記事では詳細を開示しておりません。
よくあるご質問
質問1 共有者の一人が海外にいて連絡が取れません。この制度を使えますか。
所在を知ることができない場合に当たるかどうかは、調査を尽くした結果によって判断されます。住所は判明しているが返事がないという場合には、所在不明とは異なる扱いとなり、賛否を明らかにしない共有者がいる場合の手続(民法第252条第2項)等を検討することになります。海外に居住する相続人からの書類の取得についてはFD54において扱います。
質問2 供託しなければならない金額はいくらですか。
所在等不明共有者の持分の時価等を基礎として裁判所が定めます。したがって、不動産の評価により大きく変わります。持分の取得の申立てをする場合には、この金額を自ら準備する必要があります。
質問3 所在不明の共有者が後で現れた場合はどうなりますか。
持分を失った所在等不明共有者は、持分の時価に相当する額の支払を請求することができるとされています。供託された金銭がその支払に充てられる仕組みです。したがって、持分が無償で奪われるわけではありません。
質問4 共有者が誰であるかも分かりません。それでも売却できますか。
相続人が誰であるかを戸籍により調査することがまず必要です。調査を尽くしても特定できない場合には、所有者不明土地管理命令又は所有者不明建物管理命令の制度を検討いたします。
質問5 どのくらいの期間がかかりますか。
いずれの手続も、公告及び異議の届出のための期間が設けられていますので、申立てから結論が出るまでに相応の期間を要します。所在の調査及び不動産の評価に要する期間を含めますと、更に長期になります。具体的な見通しは、事案の内容を確認したうえでお示しいたします。
質問6 他の共有者が売却に反対しています。
持分の譲渡権限の付与の制度は、所在等不明共有者以外の共有者の全員が同一の者に譲渡することを条件といたしますので、反対する共有者がいる場合には用いることができません。この場合には、共有物分割の手続により解決を図ることになります。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕。東京都港区虎ノ門)では、所在の分からない共有者がいる不動産に関するご相談をお受けしております。
- 電話番号 03-6435-8418
- 受付時間 8時00分から21時00分まで
- 土曜日、日曜日及び祝日も受付いたします
- ご相談は事前予約制です
ご相談の際に、登記事項証明書、公図、固定資産税の納税通知書、被相続人及び相続人の戸籍、所在不明の共有者について判明している情報、これまでに送付した郵便及びその返戻の記録をご用意いただけますと、検討が早く進みます。これらがお手元にないことを理由にご相談をお断りすることはありません。
結果は事案ごとに異なります。本記事の記載は一般的な説明であり、特定の結果を保証するものではありません。
本記事の根拠条文
民法 第25条第1項(不在者の財産の管理)、第28条(管理人の権限外の行為)、第30条(失踪の宣告)、第31条(失踪の宣告の効力)、第251条第1項(共有物の変更)、第251条第2項(所在等不明共有者以外の共有者による変更の裁判)、第252条第1項(共有物の管理)、第252条第2項(賛否を明らかにしない共有者がいる場合の裁判)、第252条第5項(保存行為)、第258条(裁判による共有物の分割)、第262条の2(所在等不明共有者の持分の取得)、第262条の3(所在等不明共有者の持分の譲渡権限の付与)、第264条の2(所有者不明土地管理命令)、第264条の8(所有者不明建物管理命令)、第898条(相続財産の共有)
制度名により記述した部分 所在等不明共有者の持分の取得及び譲渡に関する裁判の手続の細目(非訟事件手続法の規定によります)、公告及び異議の届出のための期間、令和3年の民法及び不動産登記法の改正により整備された各制度の施行の時期及び経過措置
関連するご案内
共有者と連絡が取れずお困りではありませんか のページで、確認すべき事項と採り得る手続を整理しております。ご相談は事前予約制です。
あわせてお読みください。
必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

