共有者の現在の住所を調べる方法

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共有者の現在の住所を調べる方法に関するメインのページです。本ページは、共有不動産をめぐるトラブルの前提として戸籍や住民票をたどる順序をご説明します。所在が不明のままの場合の手続は別のページをご参照ください。
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相続した土地が、面識のない親族との共有になっています。登記事項証明書には住所が記載されていますが、40年以上前のものと思われ、その場所に手紙を送っても宛先不明で返送されてまいりました。どのように調べればよいのかが分かりません。このようなご相談をいただくことがあります。
結論から申し上げます。共有者の現在の住所を調べる基本の方法は、登記事項証明書に記載された氏名及び住所を手掛かりとして、その者の戸籍を取得し、戸籍の附票により住民登録上の住所の履歴をたどるというものです。戸籍の附票には、その戸籍に在籍している間の住所の異動が記録されていますので、これにより現在の住所を把握し得ることが多くあります。これらの調査を尽くしてもなお判明しない場合には、所在等不明共有者に関する制度(民法第251条第2項、第252条第2項第1号、第262条の2、第262条の3)、所有者不明土地管理命令(民法第264条の2)、不在者の財産の管理人(民法第25条第1項)といった制度の利用を検討することになります。いずれの制度も、調査を尽くしたことが前提となりますので、調査の過程を記録に残すことが重要です。本記事では、手順を整理いたします。
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共有者と連絡が取れない場合、その原因によって用いる制度が変わります。
- 共有者の所在を調査する場面……本記事
- 連絡はつくが賛否を明らかにしない共有者がいる場面……連絡はつくが賛否を示さない共有者がいる場合
- 所在等不明共有者の持分を取得する場面……裁判所の決定により所在の不明な共有者の共有持分を取得する手続
- 所在等不明共有者の持分を第三者へ譲渡する場面……所在の分からない共有者がいる不動産を売却する方法
- 共有者が死亡し相続人と連絡が取れない場面……相続人の一部と連絡が取れない場合の遺産分割の進め方
調査の手順
全体の流れ
表1 共有者の住所を調べる手順
| 段階 | 内容 | 得られる情報 |
|---|---|---|
| 1 登記事項証明書の取得 | 対象となる不動産の登記を確認いたします | 共有者の氏名、登記時点の住所、共有持分 |
| 2 登記された住所への送付 | 書面を送付し、到達の有無を確認いたします | 現に居住しているかの手掛かり |
| 3 戸籍の取得 | 共有者の戸籍を取得いたします | 生存の有無、婚姻、転籍の履歴 |
| 4 戸籍の附票の取得 | その戸籍の附票を請求いたします | 住民登録上の住所の履歴 |
| 5 判明した住所への送付 | 改めて書面を送付いたします | 連絡の可否 |
| 6 現地の確認 | 判明した住所を訪ねます | 居住の実態 |
| 7 死亡していた場合 | その者の相続人を調査いたします | 新たな当事者 |
登記事項証明書の限界
登記事項証明書に記載されている住所は、登記がされた時点のものです。所有権の登記名義人の住所に変更があった場合の変更の登記については、申請の義務に関する定めが設けられていますが、施行の時期を含む詳細は法務局にご確認ください。従前は義務とされていませんでしたので、古い登記では住所が現況と一致しないことが通常です。
戸籍及びその附票による調査
戸籍の附票には、その戸籍に在籍している間の住所の異動が記録されています。したがって、共有者の戸籍を特定し、その附票を取得することにより、住民登録上の住所をたどることができます。
もっとも、附票の保存の期間には制限があります。除かれた附票については保存の期間が定められており、期間が経過していれば取得することができません。この点は、市町村により取扱いが異なる場合がありますので、確認が必要です。
誰が請求できるか
戸籍及びその附票の請求は、本人、配偶者、直系尊属又は直系卑属のほか、自己の権利を行使し、又は義務を履行するために必要がある場合等に、第三者も請求することができるものとされています。共有者として、共有物分割の請求その他の権利の行使のために必要であることを明らかにして請求することになります。
弁護士は、受任している事件について、職務上請求の制度により戸籍等を請求することができます。制度の趣旨に沿った適切な運用が求められるものです。
調査によっても判明しない場合
検討する制度
表2 所在が判明しない場合に検討する制度
| 制度 | できること | 根拠 |
|---|---|---|
| 所在等不明共有者がある場合の変更の裁判 | その者以外の共有者の同意で変更を加え得ます | 民法第251条第2項 |
| 所在等不明共有者がある場合の管理の裁判 | その者以外の共有持分の過半数で管理に関する事項を決し得ます | 民法第252条第2項第1号 |
| 所在等不明共有者の持分の取得 | その者の共有持分を取得することができます | 民法第262条の2 |
| 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与 | 第三者への譲渡を実現することができます | 民法第262条の3 |
| 所有者不明土地管理命令 | 特定の土地について管理人が選任されます | 民法第264条の2 |
| 不在者の財産の管理人 | その者の財産の全体について管理人が選任されます | 民法第25条第1項 |
| 失踪の宣告 | 死亡したものとみなされます | 民法第30条 |
目的から制度を選ぶ
いずれの制度によるかは、何を実現したいかによって決まります。当該不動産を売却したいのであれば共有持分の取得又は譲渡の権限の付与を、賃貸したいのであれば管理の裁判を、遺産分割を進めたいのであれば不在者の財産の管理人を、というように、目的に応じて選択いたします。
遺産共有である場合の制約
所在等不明共有者の持分の取得及び譲渡の権限の付与については、当該共有持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から10年を経過していないときは、することができないものとされています。遺産分割が未了である場合には、この点の確認が必要です。
調査を尽くしたことが前提となります
いずれの制度についても、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないという要件を満たす必要があります。この判断においては、必要な調査を尽くしていることが前提となります。調査を行わないまま申し立てても、認められません。
実務上よく起きる問題
調査の途中で死亡が判明する
共有者が既に死亡していることが判明した場合には、その者の相続人が新たな共有者となります。相続人を確定させるため、被相続人となった共有者の出生から死亡までの戸籍を収集する必要が生じます。当事者が一挙に増えることになります。
附票の保存の期間が経過している
除かれた附票の保存の期間が経過している場合には、住所の履歴をたどることができません。この場合には、判明している最後の住所への送付、現地の確認、近隣からの聴取といった方法によることになります。
住所は判明したが返答がない
住所が判明し、書面が到達しているにもかかわらず返答がないという場合には、所在が不明であるとはいえません。したがって、所在等不明共有者に関する制度を用いることはできません。この場合には、賛否を明らかにしない共有者に関する制度(民法第252条第2項第2号)、又は共有物分割の訴えによることになります。
外国に居住している
共有者が外国に居住している場合には、住民登録がないため附票により住所を把握することができません。もっとも、親族を通じて連絡が取れる場合も多くあります。連絡が取れれば、在外公館における署名証明等により手続を進めることになります。
同姓同名の者がいる
登記事項証明書の記載のみでは、共有者を特定できない場合があります。生年月日の記載がないためです。この場合には、相続関係、取得の経緯から特定を試みることになります。
調査の記録を残していない
制度の利用を申し立てる段階になって、これまでの調査の記録がないために、調査を尽くしたことを示せないという事態が生じます。取得した資料、送付した書面、返送された郵便物は、すべて保管しておくことが重要です。
検討する選択肢
選択肢の全体像
表3 共有者の所在が分からない場合に採り得る手段
| 手段 | 内容 | 期間の目安 | 適する場面 |
|---|---|---|---|
| 戸籍及び附票による調査 | 住所の履歴をたどります | 1か月から数か月 | 最初に行うべき対応です |
| 現地の確認 | 判明した住所を訪ね、居住の実態を確認いたします | 数週間 | 書面が返送された場合 |
| 親族からの聴取 | 他の親族から手掛かりを得ます | 数週間 | 連絡の取れる親族がいる場合 |
| 所在等不明共有者の持分の取得 | 共有持分を取得して単独所有といたします | 数か月から1年 | 自ら取得したい場合 |
| 共有持分を譲渡する権限の付与 | 第三者への売却を実現いたします | 数か月から1年 | 全体を売却したい場合 |
| 所有者不明土地管理命令 | 特定の土地について管理人を選任いたします | 数か月 | 管理が問題となる場合 |
| 不在者の財産の管理人 | 遺産分割等に関与させます | 数か月 | 遺産分割が未了の場合 |
| 共有物分割の訴え | 公示送達等により手続を進めます | 1年から2年程度 | 他の手段によらない場合 |
記録の作成
調査の過程は、後の申立てにおいて調査を尽くしたことを示す資料となります。次の事項を記録に残すことが望まれます。
表4 記録に残すべき事項
| 事項 | 残す資料 |
|---|---|
| 登記の内容 | 登記事項証明書 |
| 取得した戸籍 | 戸籍、除籍、改製原戸籍 |
| 住所の履歴 | 戸籍の附票、除かれた附票 |
| 送付した書面 | 書面の控え、発送の記録 |
| 返送された郵便物 | 封筒(付箋の記載を含みます) |
| 現地の確認 | 写真、確認の日時と結果の記録 |
| 聴取の結果 | 誰から何を聞いたかの記録 |
| 市町村への照会 | 照会の内容と回答 |
早期の着手が重要です
時が経つほど、共有者が死亡して当事者が増え、附票の保存の期間が経過して調査が困難になります。相続の開始から10年を経過すると、遺産分割において特別受益及び寄与分を主張することが原則として制限され(民法第904条の3)、所在等不明共有者の持分の取得等の制度にも制約が生じます。早期の着手が最も確実な負担の軽減となります。
案件において確認すべき事項
資料の確認
表5 ご相談の際に確認する資料
| 区分 | 資料 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 権利関係 | 登記事項証明書 | 共有者の氏名、住所、共有持分、登記の時期 |
| 権利関係 | 公図、地積測量図 | 物件の特定 |
| 相続 | 被相続人及び相続人の戸籍 | 共有関係の発生の経緯 |
| 調査 | これまでに取得した戸籍、附票 | 調査の進み具合 |
| 連絡 | 送付した書面、返送された郵便物 | 到達の有無 |
| 現況 | 現地の写真 | 不動産の状態 |
| 税 | 固定資産税の納税通知書 | 納税義務者、費用の負担 |
| 経緯 | 親族からの情報 | 手掛かりの有無 |
確認する事項
表6 方針の検討において確認する事項
| 事項 | 確認の内容 |
|---|---|
| 目的 | 売却、賃貸、遺産分割のいずれを実現したいか |
| 共有者の数 | 所在の分からない者が何人いるか |
| 生存の有無 | 既に死亡していないか |
| 遺産共有か | 遺産分割が未了でないか |
| 相続開始からの期間 | 10年を経過しているか |
| 調査の程度 | 戸籍及び附票による調査を尽くしたか |
| 記録の有無 | 調査の過程を示す資料があるか |
| 費用 | 予納金等を負担し得るか |
弁護士に相談する意味
共有者の所在の調査は、地道な作業ですが、その後の手続の成否を左右いたします。
第一に、調査を尽くしたことが制度の利用の前提となる点です。所在等不明共有者に関する各制度、所有者不明土地管理命令のいずれについても、必要な調査を尽くしたことが要件の判断において考慮されます。どこまでの調査が求められるかを踏まえた対応が必要です。
第二に、調査の過程で当事者が増える点です。共有者が既に死亡していれば、その相続人が新たな当事者となります。数次相続が重なれば、当事者が数十人に及ぶこともあります。全体像を把握したうえで方針を定める必要があります。
第三に、目的に応じた制度の選択が必要である点です。売却したいのか、管理を進めたいのか、遺産分割を進めたいのかによって、適する制度が異なります。誤った選択をすれば、費用と期間が失われます。
弁護士が行う業務は、次のとおりです。第一に、登記及び戸籍により共有者を特定することです。第二に、戸籍の附票により住所を調査し、書面を送付することです。第三に、調査の過程を記録に残し、調査を尽くしたことを示せる状態にすることです。第四に、目的に応じた制度を選択し、裁判所への申立てを行うことです。第五に、連絡が取れた場合の交渉、共有物分割その他の手続を代理することです。なお、登記の申請は司法書士の業務です。
なお、具体的な進め方は、共有者の数及び構成、調査の結果、実現したい目的等により異なり、当事務所が個別案件を通じて蓄積してきた実務上のノウハウにも属するため、本記事では詳細を開示していません。
よくあるご質問
質問1 登記の住所に手紙を出しても戻ってきます。
登記の住所は登記がされた時点のものであり、現況と一致しないことが通常です。共有者の戸籍を取得し、その附票により住民登録上の住所の履歴をたどることが次の手順となります。
質問2 他人の戸籍を取れますか。
戸籍及びその附票の請求は、自己の権利を行使し、又は義務を履行するために必要がある場合等に、第三者も請求することができるものとされています。共有者として権利を行使するために必要であることを明らかにして請求することになります。
質問3 附票を取ったのに住所が分かりません。
除かれた附票の保存の期間が経過している場合には、履歴をたどることができません。この場合には、判明している最後の住所への送付、現地の確認、親族からの聴取といった方法によることになります。
質問4 調査してもどうしても分からない場合は。
所在等不明共有者に関する各制度、所有者不明土地管理命令、不在者の財産の管理人といった制度の利用を検討いたします。いずれについても、調査を尽くしたことが前提となりますので、調査の記録が重要です。
質問5 住所は分かるが返事がない場合はどうですか。
所在が不明であるとはいえませんので、所在等不明共有者に関する制度を用いることはできません。賛否を明らかにしない共有者に関する制度(民法第252条第2項第2号)、又は共有物分割の訴えによることになります。
質問6 放置しているとどうなりますか。
共有者が死亡するたびに当事者が増え、附票の保存の期間の経過により調査が困難になります。また、相続の開始から10年の経過により、遺産分割及び一部の制度の利用に制約が生じます。早期の着手が望まれます。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕。東京都港区虎ノ門)では、共有者と連絡が取れない不動産に関するご相談をお受けしています。
- 電話番号 03-6435-8418
- 受付時間 8:00~21:00
- 土曜日、日曜日及び祝日も受付いたします
- ご相談は事前予約制です
ご相談の際に、登記事項証明書、公図、これまでに取得した戸籍及び附票、送付した書面及び返送された郵便物、固定資産税の納税通知書をご用意いただけますと、検討が早く進みます。これらがお手元にないことを理由にご相談をお断りすることはありません。
弁護士費用については、弁護士費用一覧のページをご覧ください。結果は事案ごとに異なります。本記事の記載は一般的な説明であり、特定の結果を保証するものではありません。
本記事の根拠条文
民法 第25条第1項(不在者の財産の管理)、第30条(失踪の宣告)、第251条第1項(共有物の変更)、第251条第2項(所在等不明共有者がある場合の変更の裁判)、第252条第1項(共有物の管理)、第252条第2項第1号(所在等不明共有者がある場合の管理の裁判)、第252条第2項第2号(賛否を明らかにしない共有者がある場合の管理の裁判)、第256条第1項(共有物の分割請求)、第258条(裁判による共有物の分割)、第262条の2(所在等不明共有者の持分の取得)、第262条の3(所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与)、第264条の2(所有者不明土地管理命令)、第898条(相続財産の共有)、第904条の3(相続開始から10年経過後の遺産分割)
その他 戸籍及びその附票の請求に関する定め(戸籍法、住民基本台帳法)。除かれた附票の保存の期間その他の取扱いは市町村にご確認ください。所有権の登記名義人の住所等の変更の登記の申請義務については、施行の時期を含め法務局にご確認ください。
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