共有物分割請求の意義と利点、欠点及び流れ

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共有物分割請求の意義に関するメインのページです。本ページは、共有不動産をめぐるトラブルを解消する手段としての利点と負担を見比べてご説明します。裁判に進んだ後の具体的な手続は別のページをご参照ください。
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不動産は、複数人で共同所有することができます。
この場合の不動産の共有者は、それぞれの名義で当該不動産にかかる共有持分の権利を取得できます。
例えば、共有持分に応じて、Aさんが5分の2、Bさんが5分の2、Cさんが5分の1の所有といった内容で登記ができるのです。
このように不動産は共有名義で所有できますが、このまま共有名義のままでは、売却や相続などで、いずれかはトラブルになる可能性もあります。
そのため、共有名義の不動産は単独名義にすることが望ましく、共有名義の不動産を単独名義に変更することを「分割」といいます。
この共有名義の不動産を分割するには、いくつかの方法があります。
今回は、共有名義の不動産の分割の方法のうち、他の共有者に分割を申し出る方法である共有物分割請求について解説していきます。
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共有物分割の手続は、いまどの段階にあるかによって、検討すべき事項が異なります。
- 共有物分割請求の全体像と分割の方法を確かめる場面……本記事
- 手続の流れを順に確かめる場面……共有物分割請求手続の流れ
- 訴状を受け取り答弁を組み立てる場面……共有物分割の訴状が届いた場合の答弁の組み立て
- 訴訟の中で和解によって終える場面……共有物分割の訴訟を和解で終えるとき 取得と売却の選択、代金の支払と明渡しの条件の定め方
- 判決が確定した後の登記及び決済の場面……共有物分割の判決が確定した後にすること 登記の申請、代償金の決済及び競売の申立て
共有物分割請求とは
共有物分割請求とは、共有名義の不動産を分割することを申し出る方法のことです。各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができ(民法第256条第1項本文)、協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法第258条第1項)。
共有物分割請求を行うのに、共有持分割合は関係なく、共有持分を保有していれば誰でも請求できます。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をした場合には、その期間内は請求することができません(民法第256条第1項ただし書)。また、共有物の持分が相続財産に属する場合において、共同相続人の間で遺産の分割をすべきときは、原則としてその持分について共有物分割の手続によることができず、相続開始の時から10年を経過したときに限り、これによることができます(民法第258条の2第1項及び第2項)。
また、共有物分割請求は法的に強制力があるために、他の共有者は請求が行われた場合には分割のために動かないといけなくなります。
共有物分割請求が行われても解決しなかった場合には、請求者は共有物分割請求訴訟を起こして裁判所に適切な分割方法を裁定してもらう方法があります。
裁判所は、共有物の現物を分割する方法、又は共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部若しくは一部を取得させる方法により分割を命ずることができ(民法第258条第2項)、これらの方法によることができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときに、その競売を命ずることができます(同条第3項)。また、裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができます(同条第4項)。共有物分割請求訴訟の特徴は、裁判所が適切な分割方法を裁定するため、合理的な裁定が仰げるところです。
共有物分割請求の目的
共有物分割請求の目的は、共有名義の不動産を分割することにより、単独名義の不動産にすることです。
共有名義の不動産は、売却することも難しく、共有不動産の上に家を建てることも難しいです。
そのため、分割をして単独名義の不動産にすることは、不動産から最大限のメリットを引き出すということになります。
共有物分割請求を行えば、共有名義の不動産の分割に向けて、他の共有者も動かざるを得なくなるのです。
共有状態を解消する方法
共有名義の不動産の共有状態を解消するためには分割を行えばよいのですが、分割には以下の方法があります。
本頁では、共有物分割請求における分割の方法を解説していきます。
現物分割
現物分割とは、共有名義の不動産そのものを物理的に分割する方法です。
基本的には、共有持分に応じて分割します。
共有物分割請求における分割の方法としては、現物分割が原則的な方法とされています。
しかし、分譲マンションなどの区分所有建物は、物理的に分割することが不可能です。
また、一戸建て住宅の建物は物理的に分割できませんし、土地は建物の敷地となっているために物理的な分割は非常に困難とされています。
そのため、実際には、共有物分割請求における分割の方法としてあまり使われていません。
代償分割(全面的価格賠償)
代償分割とは、共有者のうちの1人が共有名義の不動産を他の共有者から取得し、共有持分を失った共有者へその対価を金銭で賠償させる方法です。
代償分割のメリットは、共有名義の不動産を分割したい方は単独名義にすることができますし、共有名義の不動産を売却して現金化したい方は現金化できることです。
代償分割の問題は、取得金額をどのように設定するかになります。
当事者の間の話し合いで決めるのが原則的ですが、決まらない場合は裁判所が選任する不動産鑑定士の鑑定価格によって決定されます。
換価分割
換価分割とは、共有名義の不動産を第三者に売却して、売却代金を持分割合に応じて分配することです。
換価分割は、共有者の間の話し合いにより、不動産会社の仲介で売却を行うこともできます。
また、裁判所の判決により競売手続きで共有名義の不動産を売却して代金を分配することもできます。
但し、競売手続きにより売却する方法の場合は、共有名義の不動産全体を競売することになります。
そのため、裁判所が出した競売を命じる判決が確定した場合は、共有名義の不動産を残したいという共有者がいたとしても、競売により不動産全体が売却されるのです。
全面的価格賠償による分割が認められるための要件
裁判所が命ずることのできる分割の方法には、現物を分けるもの、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部又は一部を取得させるもの及び競売を命ずるものがあります(民法第258条第2項及び第3項)。このうち、共有者の一人が不動産の全部を取得し、他の共有者に対して価格に相当する金銭を支払う方法を全面的価格賠償といいます。競売を避けて自ら不動産を残したい方にとっては、最も望ましい結論です。
もっとも、この方法は当然に認められるものではなく、実務上、次の4つの事情がそろっているかどうかにより判断されています。
要件1 その共有者に取得させることが相当であること
不動産の形状、面積、位置、利用の状況、共有に至った経緯、各共有者の持分の割合、その不動産を現に使用している者は誰か、取得を希望する者にとってその不動産がどのような意味を持つかといった事情が考慮されます。長年にわたり居住し、又は事業の用に供してきた事実は、相当性を基礎付ける事情となります。
要件2 価格が適正に評価されていること
賠償の額の基礎となる不動産の価格は、固定資産税の評価額や相続税の評価額ではなく、時価によります。当事者の間で価格に隔たりがある場合には、不動産鑑定士による鑑定の手続を経ることになります。
要件3 取得する者に支払能力があること
裁判所は、賠償金が現実に支払われる見込みがあるかどうかを重視します。したがって、預金の残高証明書、金融機関の融資の内諾を示す書面、担保に供することのできる他の資産の資料等により、支払能力を具体的に示す必要があります。支払能力を示すことができない場合には、競売による分割が命じられることになります。
支払能力の疎明に用いる資料としては、次のものが挙げられます。第一に、金融機関の預金の残高証明書です。第二に、金融機関が発行する融資の内諾の書面又は融資の条件を記載した書面です。第三に、他に所有する不動産の登記事項証明書及びその評価に関する資料です。第四に、有価証券の残高報告書です。第五に、親族から資金の援助を受ける場合には、援助を行う者の資力を示す資料及び援助の合意を記載した書面です。これらは、口頭の説明に代えて書面により提出することが求められますので、訴えの提起の前に用意を始める必要があります。
要件4 共有者間の実質的な公平を害しないこと
賠償の額のほか、支払の時期、登記の移転との同時履行、これまでの使用の対価の清算、固定資産税その他の負担の精算を含めて、全体として公平が保たれているかどうかが判断されます。裁判所は、分割の裁判において、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができるとされています(民法第258条第4項)。
支払能力をどのような資料により示すか、及び他の共有者に買い取ってもらう場合の価格の基準については、当事務所の別のページで詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
共有物分割請求のメリット
共有名義の不動産を分割するために共有物分割請求を行うことは、以下のようなメリットがあります。
裁判所が分割方法を指定してくれる
共有名義の不動産の共有者同士で協議がまとまらなかった場合であっても、裁判所が法律に乗っ取った適切な分割方法を指定してくれます。
そのため、共有物分割請求を行うことにより、確実に共有名義の不動産を分割することができるのです。
適正な価格で行われる
共有名義の不動産が価格賠償になった場合、まずは共有者同士で取得金額が協議されます。
この協議により取得金額が決まらなかった場合には、裁判所が選任する不動産鑑定士により取得金額が決定されます。
そのため、共有者の一人が得をするような言い値で取得金額が決まるのではなく、適正な時価により決定されるのです。
合意なしに共有状態を解消できる
共有名義の不動産の共有者の一人が共有状態を解消したい場合であっても、他の共有者の合意がなければ協議では共有状態を解消できません。
しかし、共有物分割請求の訴訟を起こすことにより、裁判所が決定した共有状態の解消方法を共有者は従わなければならなくなります。
そのため、共有名義の不動産の共有者の合意なしでも、共有状態を解消できるのです。
共有物分割請求のデメリット
共有名義の不動産を分割するために共有物分割請求を行うことは、メリットばかりではなく、以下のようなデメリットもあります。
時間がかかる
共有物分割請求の内容によっても変わってきますが、訴訟までいった場合は、短くても半年から1年、または1年以上かかる場合があります。
できるだけ早くに解決したい場合には、共有物分割請求訴訟まで持ち込まずに協議によって解決する必要があるのです。
希望価格にならないこともある
共有名義の不動産が価格賠償になった場合、協議によって取得金額が決まらなければ、裁判所が選任する不動産鑑定士によって適正な時価で取得金額が決定されます。
そのため、希望価格で共有物分割請求が行われない可能性があるのです。
競売判決で価格が抑えられることがある
共有物分割請求を行って、協議では決まらない場合や、物理的に分割が難しい場合があります。
その場合には、共有物分割請求訴訟で、裁判所が換価分割の判決を下す可能性もあるのです。
共有物分割請求訴訟の判決で換価分割の指定になった場合、共有名義の不動産は基本的に競売にかけられて強制的に売却されます。
競売による売却価格は、市場での取引金額よりも価格が抑えられるのが一般的です。
また、競売にも費用がかかりますので、さらに手取り額は少なくなります。
手間がかかる
協議では解決せずに共有物分割請求訴訟まで発展した場合は、弁護士を探して依頼することや、多くの資料を集める必要があるため、大変な手間がかかります。
また、他の共有名義の不動産の共有者から反論された場合は、弁護士と相談して対策をたてる必要があります。
共有者同士の関係に亀裂が入る
共有物分割請求を行った場合に、協議で決まらなければ、共有物分割請求訴訟まで発展する可能性があります。
もともと共有名義の不動産は、相続などで兄弟姉妹や親子などの親族で不動産を共有するケースが多いため、訴訟になった場合には親族間に亀裂が入る可能性があるのです。
そのため、できるだけ訴訟の前の協議により、分割ができるように努力をする必要があります。
共有物分割請求の流れ、手順
共有名義の不動産の共有者が、共有状態を解消したい場合には、共有物分割請求を行う方法があることを解説してきました。
本頁では、この共有物分割請求を行うための流れや、手順について解説していきます。
共有者同士での交渉、協議を行う
共有者の一人が共有物分割請求を行った場合、まずは共有名義の不動産について、共有者同士で可能な限りの交渉、協議を行います。
交渉、協議などの共有物分割協議は、書面を送付したり面談したりなどで進められますが、共有名義の不動産に対する利害が違う場合も多く、なかなかスムーズにはいきません。
特に、共有物分割請求を行った請求者が望む分割方法を伝えるだけでは、共有物分割協議は決裂するだけです。
他の共有者が受けるメリットについても上手く説明することで、他の共有者に納得してもらえるように進めていく必要があります。
共有物分割請求を行った請求者の中には、共有物分割協議を行っても纏まる可能性が低いからといって、すぐに共有物分割請求訴訟を進めたがる方もいます。
しかし、共有物分割請求訴訟を提起する要件として、「共有者間で協議が調わない」ときは、その分割を裁判所に請求できると規定されています。
そのため、共有物分割請求を行う場合には、最初に共有物分割についての共有物分割協議を行う必要があるのです。
但し、実際には、共有物分割請求の共有者同士で交渉、協議をしたという証拠作りのためのものであり、会って交渉、協議をするケースは少ないです。
また、共有物分割協議が纏まらず訴訟になった場合、他の共有者から「共有者間に協議が調わない」という要件を満たしていないため共有物分割請求訴訟は無効だといわれることがあります。
これを避けるために、共有者全員に共有物分割協議の申入れを内容証明郵便で行うとよいでしょう。
共有物分割調停
共有物分割協議が纏まらなかった場合、共有物分割請求訴訟を起こす前段階として、共有物分割調停を裁判所に申し立てることができます。
共有物分割調停を申し立てれば、調停委員が間に入って調整してくれるため、共有名義の不動産の共有者だけで協議するよりも、合意しやすくなります。
共有物分割請求を行う場合に、共有物分割調停を行うかどうかは任意です。
共有物分割協議が纏まらない段階で、共有物分割調停を行わずに共有物分割請求訴訟を起こしてもまったく問題ありません。
弁護士などの専門家に相談する
共有名義の不動産の共有物分割請求を行って、共有物分割協議がうまく纏まらなかったり、共有物分割請求訴訟まで進めたい場合には、弁護士などの専門家に依頼するとよいでしょう。
弁護士に依頼することで、共有名義の不動産の分割について、最善な解決方法を考えてくれます。
訴訟の申し立てを行う
共有名義の不動産に対して共有物分割請求を行い、共有物分割協議がうまく纏まらなかった場合には、共有物分割請求訴訟の提起を行うことになります。
共有物分割請求訴訟の提起を行える要件は、共有物分割協議を行っていることと、共有物分割協議が調わないときです。
共有物分割請求訴訟の申し立て先は、共有名義の不動産の所在地、または他の共有者の所在地を管轄する地方裁判所です。
申し立てを行うときに、以下の必要書類を提出します。
- 訴状の正本および副本 (副本は他の共有者全員に送付要)
- 収入印紙、郵便料
- 固定資産評価証明書 、全部事項証明書(登記簿謄本)
呼出状が届く
共有物分割請求訴訟の申し立て先の裁判所によっても異なりますが、提訴の手続きから約1ヶ月後に、共有者に対して口頭弁論期日の呼出状が裁判所から送付されます。
呼出状を受け取った共有者は、答弁書に必要事項を記載して、口頭弁論期日の1週間前までに裁判所に提出する必要があります。
裁判が開始される
共有物分割請求訴訟では、請求者が求める分割方法について裁判官に合理性を訴えて、その方法が妥当である根拠を説明しなければなりません。
そのため、共有物分割協議で共有者へ分割に納得してもらえるように訴えるよりも、さらに理論的な説明で合理性を訴えていく必要があるのです。
また、他の共有者と意見が異なる場合には裁判で反論してきますので、他の共有者の意見が通らないように反論していかなければならないこともあります。
判決が下される
裁判所は、口頭弁論や答弁書の提出により両共有者の主張を審理して、適切な分割方法を決定します。
裁判所は、適切な分割方法を決定するために、両共有者の主張の落とし所を見つけて判決を下すのです。
また、判決が下される前に裁判官から和解勧告を受けることがあり、両共有者が和解に応じれば、両共有者の主張が尊重され早期に解決できます。
和解が成立した場合を除けば、通常裁判は半年~2年くらいかかり、裁判所の判決は、現物分割、代償分割、換価分割の三つの分割方法から決定されます。
また、共有名義の不動産に対して、競売を命じる判決が下されることもあります。
この場合は、共有名義の不動産の分割に反対をしている共有者がいたとしても、判決に基づいて競売手続を行うことになりますので、共有持分を失うことになるのです。
共有物分割請求の費用
共有物分割請求を行う場合には、交渉費用、弁護士費用、訴訟費用、登記費用、税金などの費用がかかります。
共有物分割請求にかかる費用について、一つずつ見ていきます。
交渉費用
共有物分割協議は、他の共有者に対して内容証明郵便を送りますので、おおよそ1,500円から2,000円くらいの費用がかかります。
訴訟費用
共有物分割協議が決裂して共有物分割請求訴訟を起こす場合には、印紙代と切手代がかかります。
共有物分割請求を行う場合の印紙代は、共有名義の不動産の固定資産税評価額を基準に、以下の共有物分割請求の訴額(印紙代を計算するための訴訟の金額)を算出します。
- 建物の場合・・・固定資産税評価額×1/3×持分割合
- 土地の場合・・・固定資産税評価額×1/6×持分割合
このように算出された訴額により、印紙代は変わってきます。
例えば、訴額が100万円の場合の印紙代は1万円、300万円の場合の印紙代は2万円、500万円の場合の印紙代は3万円、1,000万円の場合の印紙代は5万円などです。
共有物分割請求を行う場合の切手代は、裁判所によって変わってきます。
訴える他の共有者が一人増えるごとに、切手代も上がっていきます。
登記費用
共有物分割請求により、共有名義の不動産が分割できた場合には、共有持分移転登記を行うことになります。
共有持分移転登記にかかる費用は、不動産取引上、共有持分を売却する側でなく、共有持分の買取側が負担をします。
但し、住所変更登記をする必要がある場合は、住所変更登記費用を共有持分を売却する側が負担する必要があります。
また、共有持分に抵当権などの担保権が設定されている場合の担保権抹消登記の費用も、売却する側が負担する必要があるのです。
税金
共有名義の不動産の共有持分を売却した場合は、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、原則共有持分を売却した代金から、共有持分取得費用、共有持分譲渡費用、特別控除を引いた金額の20%になります。
内容証明が届いた際の選択
共有物分割請求において、共有物分割協議の申入れが行われるときには、請求側の共有者から内容証明郵便が送られてくるケースが多いです。
共有物分割請求を行いたい共有者から、内容証明郵便が送られてきた場合は、以下の選択をすることができます。
相手方と話し合う
共有物分割請求に関する内容証明郵便を送って来るということは、共有名義の不動産に対する共有状態を解消したいということです。
請求者がどのように共有状態を解消したいのかや、内容証明郵便を送られた側にもメリットがあるのかどうかなどを、相手側と話し合うことが大切です。
話し合いが難しい場合の対応
共有名義の不動産に対するトラブルなど何らかの事情があった場合には、話し合いが難しいケースもあります。
このような場合でも、共有持分を早く現金化したければ、共有持分を売却する方法があります。
また、共有物分割請求には一定の時間がかかるため、共有名義の不動産の共有持分を使ってできるだけ早く現金化したい場合は、共有持分融資を受けることも可能です。
何もしない
早期の現金化も望まずに、内容証明郵便における共有物分割協議にも協力したくない場合には、何もしないという方法もあります。
何もしなければ、法的に粛々と自分の共有名義の不動産が処理されていきます。
共有物分割請求の訴訟にかかる期間
共有物分割請求を行った場合、共有者同士の事情や状況によっても異なりますが、共有物分割協議にかかる時間はだいたい1ヶ月~2ヶ月程度です。
共有物分割調停を行えば、だいたい3ヶ月~6ヶ月程度かかります。
共有物分割請求訴訟になると、共有者同士の事情や状況によっても異なりますが、訴訟の途中で和解になれば2ヶ月程度、泥沼化すると2年以上かかる場合もあるのです。
共有物分割請求が望まれる事例
共有名義の不動産を保有していて、共有物分割請求を行った方がよい事例について見ていきます。
不動産の所有者が亡くなって、不動産を複数の相続人で共同相続した場合は、固定資産税の負担や、不動産管理などが困難であるため、共有物分割請求を行った方がよいケースです。
事業のために共同出資して購入した共有名義の不動産を、共有者の一人が事業から手を引く場合は、共有物分割請求により共有の解消を行った方がよいケースです。
共有名義の不動産を所有している場合の解消方法
共有名義の不動産を所有している場合、共有物分割請求を行わなくても共有の解消を行うことができます。
本頁では、共有の解消方法について見ていきます。
共有持分売却
共有名義の不動産を所有している場合、共有持分は財産的価値のある権利のため、売却することができます。
但し、共有持分を不動産業者などに売却する場合は、市場相場よりもかなり安い価格でなければ売却することができません。
なぜなら、共有持分を所有しているだけでは、他の共有者の存在があるため、不動産業者などが自由に売却したりできないからです。
共有持分だけの買取は、不動産業者にとってあまりメリットのないことなのです。
弁護士に依頼して取り纏めて売却
共有名義の不動産の共有を解消する方法として、弁護士に依頼して、共有不動産の全部を取り纏めてから売却する方法があります。
事件全体の掌握と処理方策の検討
弁護士は、対象不動産の性質や現在の状況、そして依頼者の希望を丁寧にヒアリングし、どのような解決方法が最も有効かを考え、共有物の分割方針を決定します。
他の共有者の協力が得られそうであれば、その協力を取り付けるためにどのようなアプローチが有効かを考えます。
お金で解決できそうか、あるいはお金以外のメリットを提供するのが有効かなど、個別ケースで有効策は異なりますので、事件ごとの性質に鑑み、アプローチを検討することになります。
もし他の共有者の協力が得られそうにない場合は、裁判を見据えてどのような判決が出そうか見通しを行い、その結果不動産の扱いがどうなるか、依頼者の権利への影響などを予想します。
不動産がどうなるかの結末の予想だけでなく、税務処理がどうなるかなども予想して依頼者と一緒に検討していきます。
任意交渉
まずは、可能な範囲で他の共有者と任意交渉に臨みます。
交渉は書面の送付や面談などで進められますが、依頼者が望む分割方法をただ単に伝えるだけでは交渉がスムーズに進展しません。
次章で示す分割方法の合理性や相手方権利者のメリットなども上手く説明し、相手方が納得しやすいように配慮しながら進めます。
利害が対立する当事者だけでの交渉はどうしても感情や損得が絡んでスムーズにいきませんが、弁護士が間に入ることで客観的に物事を伝えることができます。
相手方も法律の専門家による説明を受けることで納得しやすくなるので、事件の円満な解決につながります。
民法で共有物分割請求権を認めた理由
共有物分割請求権は、民法が制定された時から存在しています。
民法で共有物分割請求権を認めた理由としては、以下のことが考えられます。
共有名義の不動産を所有している場合は、単独で不動産を所有している場合と比較して、不動産の利用または改善において充分配慮されない状態にあります。
また、共有名義の不動産の共有者間で、不動産の管理や変更をめぐり意見の対立がおきやすいことも挙げられます。
このように、不動産を共有している状態が継続していることは弊害が大きいと考えて、共有の解消を考えている方が、共有物分割請求権によって強制的に共有を解消できるようにしたのです。
まとめ
共有名義の不動産を分割したい場合や、共有物分割請求を行う場合には、専門家である弁護士に相談するとよいでしょう。
おわりに
共有物分割請求は、共有関係を確実に終わらせることのできる手続ですが、共有者の数が増えるほど、また建物の劣化が進むほど、得られる結果は乏しくなります。請求をお考えでしたら、登記事項証明書と固定資産評価証明書をご用意のうえ、お早めにご相談ください。必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。
共有物分割請求に関するご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418
受付時間 8:00-21:00(土日祝含む)
出典及び参照した法令
民法第249条第1項及び第2項、第251条第1項、第252条第1項、第256条第1項、第258条第1項から第4項まで、第258条の2第1項及び第2項、第904条の3
民事執行法第60条第3項、第195条
最高裁判所平成8年10月31日第一小法廷判決(全面的価格賠償による共有物分割の要件)
具体的なご相談をお考えの皆様へ
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