共有物分割の訴えに要する期間と費用の目安

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共有物分割の訴えに要する期間と費用に関するメインのページです。本ページは、共有不動産をめぐるトラブルを裁判で解決する場合の見通しと負担の目安をご説明します。答弁の組み立ては別のページをご参照ください。
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兄弟3人の共有である土地について、話合いが何年も進みません。裁判を起こすほかないと考えていますが、どのくらいの期間がかかり、どの程度の費用が必要となるのかが分からず、決断できずにいます。このようなご相談をいただくことがあります。
結論から申し上げます。共有物分割の訴えは、地方裁判所又は簡易裁判所に提起する通常の民事訴訟です。審理に要する期間は、争点の内容、当事者の数、鑑定の実施の有無によって大きく異なり、一律の期間は示せません。費用としては、訴えの提起の際に納める手数料及び郵便切手、鑑定が実施される場合の鑑定の費用、並びに弁護士に依頼する場合の弁護士費用があります。手数料は訴訟の目的の価額に応じて定まり、鑑定の費用は対象となる不動産の内容により異なります。本記事では、期間及び費用の考え方と、協議による解決との比較を整理いたします。なお、当事務所の弁護士費用については、弁護士費用一覧のページをご覧ください。
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費用と期間の見通しは、手続がどこまで進むかによって変わります。
- 共有物分割の訴えに要する期間と費用の目安を確かめる場面……本記事
- 弁護士費用を含む費用の全体像を確かめる場面……共有不動産の紛争を弁護士に依頼する場合の費用 交渉、共有物分割の訴訟、鑑定に要する費用の内訳
- 不動産の鑑定を求める場合の手続と費用を確かめる場面……不動産の鑑定を求める場合の手続と費用
- 手続の流れを順に確かめる場面……共有物分割請求手続の流れ
- 解消に伴って生ずる税金を確かめる場面……共有関係を解消したときに生ずる税金 譲渡所得、不動産取得税及び登録免許税の取扱いと、課税されない場合
手続の流れと期間
共有物分割の期間は、訴訟の審理だけでなく、その前の当事者調査と、その後の決済や登記まで含めて考える必要があります。判決が出た日と、不動産又は金銭を現実に取得する日は同じとは限りません。
段階ごとに見通しを確認します
初回の相談では、何が既に確認でき、何が未解決かを整理します。以下は平均期間の表示ではなく、時間を要する原因の確認表です。
| 段階 | 時間を要する主な原因 | 見通しを更新する時点 |
|---|---|---|
| 当事者と権利の調査 | 相続、所在不明、共有者多数、担保権 | 相手方と権利関係を特定したとき |
| 協議 | 価格の差、居住、資金不足、無回答 | 条件提示への回答を得たとき |
| 訴訟 | 送達、争点整理、鑑定、和解の成否 | 争点と鑑定の要否が明確になったとき |
| 判決又は和解後 | 融資、代金支払、登記、明渡し | 決済条件と必要資料が整ったとき |
| 競売 | 申立て、評価、売却、配当 | 裁判所の手続予定が示されたとき |
相談と同時に期間短縮が確定するわけではありません
合意できる事項と争う事項を分け、資料を早期に整理することは進行に役立ちます。しかし、裁判所の日程、相手方の対応、鑑定及び買主の確保は、依頼者又は弁護士だけでは決められません。一定期間での解決を保証する表示は行いません。
ご本人の対応が必要な場面も確認します
弁護士に依頼した場合でも、事情の説明、資料提供、和解条件の判断、本人尋問等への対応が必要になることがあります。出廷の要否や方法は、事件の内容と裁判所の運用を踏まえて確認します。
費用の支出時期も併せて確認します
着手時に必要な金額、毎月発生し得る報酬、鑑定等の予納、解決時の連動報酬及び判決後の費用を分けます。支出の総額だけでなく、いつ準備する必要があるかを確認します。
共有不動産の弁護士費用の内訳 / 訴状が届いた方の相談案内 / 請求を始めたい方の相談案内
期間を長くする要因
表2 期間に影響する要因
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 当事者の数 | 多いほど期日の調整、書面の送達に時間を要します |
| 所在の分からない当事者 | 調査、公示送達の手続に期間を要します |
| 評価の争い | 鑑定人の選任、資料収集、調査及び評価書の作成に時間を要します |
| 分割の方法の争い | 現物分割の可否の検討に測量等を要する場合があります |
| 遺産共有持分の存在 | 手続の枠組みの整理に時間を要します |
| 権利関係の複雑さ | 借地権、賃借人、担保権がある場合 |
| 当事者の対応 | 応答が遅い場合、争点が拡散する場合 |
| 判決後の手続 | 競売による分割となれば更に期間を要します |
競売による分割となった場合
判決により競売が命じられた場合には、その後に競売の手続を経ることになります。申立て後の現況調査、評価、売却及び配当等に要する期間は、物件や売却の状況により異なります。判決までの期間と分けて見通しを確認します。
和解による解決
訴訟の途中で和解が成立する例も多くあります。和解であれば、判決より柔軟な内容とすることができ、合意の時期と履行条件によっては期間を短くできる場合があります。分割の方法、代償金の額、支払の時期、登記の手続を一括して定めることが可能です。
費用
費用の種類
表3 共有物分割の訴えに要する費用
| 費用 | 内容 | 負担する者 |
|---|---|---|
| 訴えの提起の手数料 | 訴訟の目的の価額に応じて定まります。提出方法に応じた納付方法を裁判所に確認します | 原告が納め、後に訴訟費用の負担の裁判によります |
| 郵便切手 | 書類の送達に用います | 原告が予納いたします |
| 登記事項証明書等の取得の費用 | 資料の収集に要する実費 | 取得した当事者 |
| 鑑定の費用 | 鑑定が実施される場合に生じます | 申し出た当事者が予納いたします |
| 測量の費用 | 現物分割を検討する場合に生じ得ます | 依頼した当事者 |
| 弁護士費用 | 依頼する場合に生じます | 依頼した当事者 |
| 登記の費用 | 判決又は和解に基づく登記に要する費用 | 事案によります |
| 競売の費用 | 競売による分割となった場合の予納金等 | 申立てをした当事者 |
訴えの提起の手数料
訴えの提起の手数料は、訴訟の目的の価額に応じて定まるものとされています(民事訴訟費用等に関する法律)。共有物分割の訴えにおける訴訟の目的の価額の算定については、実務上の取扱いがありますので、具体的な額は提訴を予定する裁判所にご確認ください。
鑑定の費用
評価が争われ、鑑定が実施される場合には、その費用が加わります。金額は、対象となる不動産の種類、規模、権利関係の複雑さによって大きく異なります。申し出た当事者が予納するのが原則であり、当事者が折半して予納することを合意する例も多くあります。
訴訟費用の負担
訴訟費用は、原則として敗訴の当事者が負担するものとされています。もっとも、共有物分割の訴えは、当事者の一方が勝ち他方が負けるという性質の訴訟ではありませんので、各自の負担とされることも多くあります。
なお、訴訟費用に弁護士費用は含まれません。弁護士に依頼した場合の費用は、依頼した当事者が負担いたします。
協議による解決との比較
比較
表4 協議による解決と訴えによる解決の比較
| 項目 | 協議による解決 | 訴えによる解決 |
|---|---|---|
| 期間 | 合意形成と履行条件によります | 審理、鑑定及び判決後の手続によります |
| 費用 | 比較的小さい | 手数料、鑑定の費用等が生じます |
| 内容の柔軟性 | 自由に定めることができます | 法律の定める分割の方法によります |
| 分割払等 | 合意により定め得ます | 原則として一括での支払となります |
| 関係への影響 | 比較的小さい | 関係が決定的に悪化することがあります |
| 実現の確実性 | 全員の合意が必要です | 合意がなくとも解決に至ります |
| 競売の危険 | ありません | 他の方法によれない場合に命じられます |
まず協議を試みる意味
訴えを提起する場合であっても、その前に協議を試みることには意味があります。第一に、協議が調えば期間と費用を大きく節約できます。第二に、協議の過程で相手方の意向、主張の内容が明らかになり、訴訟における主張の準備に役立ちます。第三に、協議を経たという経緯自体が、訴訟における事情として考慮される余地があります。
訴えの提起を検討すべき場合
表5 訴えの提起を検討すべき場合
| 状況 | 説明 |
|---|---|
| 協議に応じない共有者がいる | 書面を送っても返答がない場合 |
| 過大な要求がされている | 法定の共有持分を大きく超える取得を求められている場合 |
| 共有者が多数に及ぶ | 全員の合意を得ることが現実的でない場合 |
| 評価が折り合わない | 鑑定によらなければ決着しない場合 |
| 放置による不利益が大きい | 管理の負担、税の負担が続いている場合 |
| 相手方が共有持分を第三者に譲渡しそうである | 新たな当事者が加わる前に解決したい場合 |
時間の経過による不利益
放置している間に、共有者が死亡して当事者が増え、建物の劣化が進み、固定資産税の負担が続きます。相続の開始から10年を経過すると、遺産分割において特別受益及び寄与分を主張することが原則として制限されます(民法第904条の3)。訴えに要する期間と費用は小さくありませんが、放置による不利益との比較が必要です。
実務上よく起きる問題
競売による分割に至る
現物分割ができず、いずれの共有者にも代償金を支払う資力がない場合には、競売が命じられることになります(民法第258条第3項)。競売における売却価格は、物件と売却条件及び需要によって異なります。取得を希望する場合には、資力を示す準備が必要です。
鑑定の費用が予想を超える
複数の物件がある場合、権利関係が複雑な場合には、鑑定の費用が高額となります。予納を求められた段階で断念することのないよう、あらかじめ見込みを確認しておくことが望まれます。
当事者の一部の所在が分からない
共有者の所在が分からない場合には、調査を経て公示送達の手続によることになります。この調査及び手続に期間を要します。
遺産共有持分が含まれる
共有物分割の対象に遺産共有持分が含まれる場合には、手続の役割分担に固有の規律があります(民法第258条の2)。相続開始から10年を経過していない場合には、遺産共有持分相互の分割は遺産分割の手続によることになります。手続の選択を誤れば、費用と期間が失われます。
判決の後にも手続が残る
判決により分割の方法が定まっても、登記、代償金の支払、競売の申立てといった手続が残ります。判決が出れば直ちに解決するわけではありません。
関係が決定的に悪化する
訴訟により、親族間の関係が回復し難いものとなることがあります。もっとも、放置しても関係が改善するわけではなく、次の世代に問題が引き継がれることになります。
案件において確認すべき事項
資料の確認
表6 ご相談の際に確認する資料
| 区分 | 資料 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 権利関係 | 登記事項証明書 | 共有者、共有持分、担保権、用益権 |
| 権利関係 | 公図、地積測量図、建物図面 | 現物分割の可能性 |
| 相続 | 被相続人及び相続人の戸籍 | 遺産共有持分の有無 |
| 評価 | 固定資産税の評価証明書、業者の査定書 | 訴訟の目的の価額、鑑定の要否 |
| 使用 | 現地の写真、賃貸借契約書 | 占有及び利用の状況 |
| 経緯 | これまでのやり取りの記録 | 協議の経過 |
| 資力 | 預貯金の残高、融資の見込み | 取得を希望する場合の準備 |
| 費用 | 固定資産税の納税通知書 | 放置による負担 |
確認する事項
表7 提訴の検討において確認する事項
| 事項 | 確認の内容 |
|---|---|
| 目的 | 取得したいのか、代償金を得たいのか、換価したいのか |
| 当事者の数 | 被告となる共有者は何人か |
| 所在 | 全員の所在が判明しているか |
| 遺産共有 | 手続の枠組みに問題がないか |
| 評価の争い | 鑑定が必要となる見込みか |
| 資力 | 代償金を支払い得るか |
| 競売の可能性 | 競売に至った場合に受け入れられるか |
| 放置の不利益 | 提訴しない場合の負担 |
弁護士に相談する意味
共有物分割の訴えは、期間と費用を要する手続ですので、提起の前に見通しを立てることが重要です。
第一に、期間及び費用の見込みを立てる必要がある点です。当事者の数、評価の争いの見込み、鑑定の要否によって、期間と費用が大きく変わります。あらかじめ見通しを示すことにより、判断の材料をご提供できます。
第二に、手続の枠組みを誤らないことが必要である点です。遺産共有持分が含まれる場合には、遺産分割の手続によるべき部分があります。誤った手続を選べば、費用と期間が失われます。
第三に、目的に応じた準備が必要である点です。取得を希望するのであれば資力を示す準備が、換価を希望するのであれば競売に至った場合の見通しが必要です。準備の不足により、望まない結果となることがあります。
弁護士が行う業務は、次のとおりです。第一に、登記及び相続関係を確認し、当事者と手続の枠組みを整理することです。第二に、期間及び費用の見込みを示すことです。第三に、訴えの提起の前に協議を試み、解決の可能性を探ることです。第四に、訴訟における主張及び証拠の提出、鑑定への対応を行うことです。第五に、和解による解決を含め、目的に沿った結果を目指すことです。なお、当事務所の弁護士費用については、弁護士費用一覧のページをご覧ください。
なお、具体的な進め方は、共有者の構成、不動産の内容、当事者の意向等により異なり、当事務所が個別案件を通じて蓄積してきた実務上のノウハウにも属するため、本記事では詳細を開示していません。
よくあるご質問
質問1 どのくらいの期間がかかりますか。
当事者の確定、送達、争点整理、鑑定の要否及び和解の成否によって異なります。判決後に競売を要する場合は、評価・売却・配当等の期間も別に見込みます。
質問2 費用はいくらですか。
訴えの提起の手数料は訴訟の目的の価額に応じて定まり、鑑定の費用は不動産の内容により異なります。具体的な額は提訴を予定する裁判所にご確認ください。当事務所の弁護士費用については、弁護士費用一覧のページをご覧ください。
質問3 負けた方が費用を負担しますか。
訴訟費用は原則として敗訴の当事者が負担いたしますが、共有物分割の訴えは一方が勝ち他方が負けるという性質の訴訟ではありませんので、各自の負担とされることも多くあります。また、訴訟費用に弁護士費用は含まれません。
質問4 鑑定は必ず行われますか。
必ず行われるものではありません。当事者が評価について合意することができれば、鑑定は不要です。主張の開きが大きく、合意が困難である場合に実施されます。
質問5 訴えを起こさずに解決できませんか。
協議により解決できれば、期間と費用を大きく節約できます。訴えを検討する場合であっても、まず協議を試みることには意味があります。もっとも、協議に応じない共有者がいる場合には、訴えによるほかありません。
質問6 競売になるのは避けたいのですが。
賠償による分割により取得することを目指す場合には、代償金の支払能力を客観的な資料により示す必要があります。訴訟の初期から資金の準備を進めることが重要です。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕。東京都港区虎ノ門)では、共有物分割に関するご相談をお受けしています。
- 電話番号 03-6435-8418
- 受付時間 8:00~21:00
- 土曜日、日曜日及び祝日も受付いたします
- ご相談は事前予約制です
ご相談の際に、登記事項証明書、公図、固定資産税の納税通知書、業者の査定書、被相続人及び相続人の戸籍、これまでのやり取りの記録をご用意いただけますと、検討が早く進みます。これらがお手元にないことを理由にご相談をお断りすることはありません。
弁護士費用については、弁護士費用一覧のページをご覧ください。結果は事案ごとに異なります。本記事の記載は一般的な説明であり、特定の結果を保証するものではありません。
本記事の根拠条文
民法 第249条第1項(共有物の使用)、第252条第1項(共有物の管理)、第253条第1項(管理の費用の負担)、第256条第1項(共有物の分割請求)、第258条第1項(裁判による共有物の分割)、第258条第2項(現物分割及び賠償による分割)、第258条第3項(競売による分割)、第258条第4項(給付を命ずる裁判)、第258条の2(遺産共有持分が含まれる場合の特則)、第898条(相続財産の共有)、第904条の3(相続開始から10年経過後の遺産分割)
その他 訴えの提起の手数料に関する定め(民事訴訟費用等に関する法律)、訴訟費用の負担に関する定め(民事訴訟法)、鑑定に関する定め(民事訴訟法)。手数料の額、鑑定の費用、競売の予納金の額は、手続を行う裁判所にご確認ください。
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